考え続けること、成長を続けることをあきらめなければ、物事は必ずより良く変えられる ― PERSOL Group Awards2024受賞の裏に(11)Low Keechung ―

パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループで最も栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載では、2024年度の「PERSOL Group Awards」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。
第11回目は、PERSOL Business SupportのLow Keechung(ロウ・キーチャン)です。

Lowはアジアの事業部全体の業務改善プロジェクト「KAIZEN」を押し進めました。新たなシステムやソリューションを構築し、業務を自動化。人の手がかかっている業務を減らすことで、高効率化とともに労働時間の短縮を実現したのです。「人は人でないとできない仕事とはたらき方がある。そしてそのために時間を使って、学んで成長すべき。私はその準備を整えたのです」とLowは笑顔で話します。

目次

みんなで力を合わせれば、どれほどの大きな変化が起こせるだろう?

Lowが取り組んだのは、Asia Pacific SBU(以降、APAC SBU。SBU:Strategic Business Unit/企業における事業計画立案の組織単位)の業務改善プロジェクトです。Lowはプロジェクトのテーマを日本語で「KAIZEN(改善)」と名付けて10人のチームを編成。まずはチームで「労働時間が長くなってしまってるのはなぜか」と話し合い、業務にある問題点を洗い出しました。そして、それらが解消された後の環境を「人生を充実させるはたらきかたができる状態」と定義。そんな共通の理想の環境を実現するために必要なソリューションをつくり出して行ったのです。このソリューションによりAPAC SBU全体の業務が次々と自動化され、結果、これまで業務にかかっていた作業時間を週換算で27時間も削減できた部門もありました。現在、この自動化はさらに進化し、部門内で社員同士がアイデアを出し合ってそれを実行するなど、KAIZENが自走し始めています。

「現状は、私たちのKAIZENにAPAC SBUのみんなが賛同して取り組んでくれた結果です。このプロジェクトはそもそも華々しいものである必要はない、というのが私の考えです。大切なのは、日々の業務一つひとつが良い方に変化し、それが積み重なること。一人の一歩では物事は大きく進みません。全員が一歩踏み出し、変化を生み出そうと意識することが重要だったのです。小さな一歩の小さな変化が集まって、大きなKAIZENとなるのです」

LowはPERSOL Business Supportがキャリアの3社目。これまでの2社でも業務改善で大きな成果を創出してきました。システム開発のプロジェクトマネジャーとしての雇用でしたが、APAC SBUでの労働時間の実態を見て「全員が一丸となって業務を変えることに取り組むべきだ」と立ち上がったのです。
いったい何がLowをそれほどまでに改善に向かわせるのか。LowのKAIZENへの想いは、これまでたどったキャリアとそこで感じたこと、気付いたことによって生まれ形づくられてきたのです。

業務が改善されれば、必ず職場は変化する

「正直言うと、私は自慢できるような学生じゃなかったのです。大学までは母のすすめで進学しました。『会計学と経済学を学んで学士を取れば、将来は安泰だよ』という彼女の話を信じたからです。大学時代は楽しかったですね。ただ、最も好きだったのは、学ぶことではなく講義の終わりを告げるベルの音の方でしたけど(笑)」

そう笑うLowですが、大学卒業後は学んだことが活かせるよう、インドネシア系の企業で財務の仕事に就きます。そこで想像を遥かに超えた多忙な日々が、社会人となったLowに襲いかかってきたのです。

「すぐに自分に問いかけました。『Lowよ、お前は50年間この仕事を続け、ずっと同じはたらき方ができるのか?』。もちろん、即答で『NO!』。目の前には昨夜も深夜過ぎまではたらいて、家に寝に帰って数時間だけ横になり、また朝早くに会社に戻ってきてはたらいている上司がいました。彼の目はどろんとしていて、もはやこのおかしな毎日と労働環境に疑問を感じていないし、考え直そうともしていないのが分かります。どうして上司がそうだと分かるのかって?もちろん分かりますよ、私も上司と同じように日々を過ごして、疲れきっていたのですから。このまま続ければ、50年を待たずこの上司のようになる。『この毎日をいち早く抜け出したい!』。それが私の出した答えです」

上司だけでなく、先輩社員たちも長時間労働で疲弊しきっていて、考えているのは「今日も家に帰って、少しでも多く眠りたい」ということだけ。まさに忙殺されていて、それを抜け出すために何か変化を起こそうと誰も考えていなかったとLowは話します。

「その職場は、定時の18時に仕事が終わると『今日は半休かい?』という冗談が飛ぶくらいでした。私はプライベートな時間がもっと欲しかった。人生を価値あるものにしたかった。でも、それを相談する相手がいなかったのです。だから自分で『どうしてこんな長い時間はたらかなければならないのか?この状況を改善するにはどうすればいいだろう』と考え続けることをあきらめませんでした。それは自分の人生をあきらめないということと同じだったからです」

その当時、Lowの仕事ではマイクロソフト社の『Excel』をメインに使っていました。「Excelでの作業を簡単に変更できないか」とLowはインターネットのフォーラムで質問をしたり、スキルやヒントの書かれた記事を読み漁ったりました。そこでマクロを活用する方法を知ったのです。それで多くの業務が楽になっていきました。複数の書式に同じような数値を入力するといった作業が、一度で完了するなど自動化が進み、業務はどんどん改善されて、Lowも同僚も早く退勤できるように。するとその噂が広まり、ほかの部署からも問い合わせが殺到するようになりました。Lowは喜んで「こうすれば業務が改善され、職場が変化するよ」と教えてまわったのです。

「業務が改善され、みんなハッピーになっていったのです。そうすると、みんながこぞって業務改善について考え、案を出し、実行するようになりました。その時に気付いたのです。大切なのは仕事を楽にする方法を教えることではなく、変化は自分たちで起こせるのだと教えることだと」

Lowは1社目のこの取り組みを振り返り「当時の自分は技術もなく、性格もいたって普通の人間でした。唯一違ったのは『変えなければ。そのために自分から変わらなければ』と強く想う心を持っていたこと」と言います。その変化を恐れない心は、2社目でさらに花開き、成長に貪欲な心へと変化を遂げるのです。

学びと成長を止めなければ、自分の影響範囲は広がり続ける

「2社目は金融系の企業でした。会計学の知識が活かせる仕事です。その企業の当時のアプリケーションでは、ベンダーへの支払い手続きが煩雑で複数回の処理が必要でした。それが業務の効率化を阻んでいたので、上司は新しいアプリケーションを購入して導入する計画でした。そこで私は立候補し、現状の業務の調査と導入予定のアプリの妥当性を調べたのです。そして上司にこう言いました。『大きな投資をしてアプリを買う必要はありません。私なら新しいアプリを構築できます』と」

Lowは導入予定だったアプリと同等のものを構築し、結果、会社は日本円にして約1億7,000円を節約できたのです。もちろん、Lowの構築したアプリの導入によって業務の手間も大きく削減されました。この業務改善も、Lowにとっては本来の業務ではないプロジェクトでした。

「1社目は新卒で入った会社でしたから、ほとんど技術や知識がなかった。それでも大きな業務改善ができた。そこで私は『もっと大きな業務改善をするために成長したい。そのために学びたい』とインターネットを通してコーディングなどプログラムの学習をスタートしていたのです。その時間はありましたよ。私が業務を改善して、プライベートの時間が充実していましたから(笑)。2社目の改善ではその知識と技術が活きたのです」

学ぶほどに自分は成長し、成長するほどにより大きな改善ができると実感したLow。そして成長することで、Lowが「業務改善のあるべき姿」により近づけるようになったと話します。

「業務改善に大切だと思うのは『変わろうとする意志や変化に柔軟な文化があるか』です。それがなければ、一度改善されても、それが企業の文化となり、継続されることは難しいのです。そして誰もが改善に前向きな意志を持ち、変化が当たり前だと考える文化を生み出すためには、改善自体が柔軟で普遍的なものでなければなりません。私だけができるソリューションではだめなのです。私がいなくなったとしても、代わりに誰もができるソリューションでなければ。そのためには、まずプログラミングやコーディングに柔軟性や普遍性を持たすことが重要。その実現のために、私は学習して成長し続けることを選んだのです」

Lowは笑いながら「私は職場から煩わしい仕事をなくしたい。同じように、みんなが手間取っている業務を改善できる仕組みをつくりたいのです」と話します。

人生の限りある時間で、どれだけの価値を生み出せるだろう?

「私にはモットーがあります。『It is better to have and not need than to need and not have.』。今すぐには必要としなくても、知識や技術はいつか必要になるかもしれないのです。私は多くの知識や技術を身につけ、豊富な選択肢を自分に用意しておくことで安らげるのです。たとえばできる仕事が10あれば、AIがそこから仕事の一つを奪ったとしても、私にはまだ9つの仕事が残っていて、選ぶことができるのですから」

だからLowは学びを止めず、それはLowの成長を加速させていったのです。ただ、2社目の会社が事業内容を転換した結果、Lowの業務は外部の会社へ委託されてしまい、Lowの業務はなくなってしまいました。その時にちょうどPERSOL Business Supportの求人を知り、興味を持ったと言います。

「1社目と2社目で私はさまざまなことを学び、経験も重ね、成長してきました。それをパーソルで活かせば、いままでより早く、より大きな成果を出せると期待したのです。これまでは社員向けのソリューションでしたが、パーソルは早く仕事に就きたい求職者とも関わりがある。そんな人たちにも自分の力でソリューションを提供できる、新しい経験が積めると期待したのです」

その第一弾が、今回のアワードに輝いたKAIZENプロジェクトだったのです。「煩わしい仕事を減らせば、もっと効率良くはたらけ、求職者のために有効に時間を使える」と考えたLowは、入社してからわずか2年の間に大きな成果を生み出しました。Lowのチームが生み出したソリューションによる業務改善の結果、多くの業務が自動化され、労働時間は大きく削減されていきました。「その結果、手がけられる仕事と可能になったはたらき方がある」とLowは話します。

「長く仕事をすることを否定しません。大切なのは時間ではなく、価値なのです。長くはたらき、それだけ価値が創出できているなら、それは素晴らしいと思います。でも、それがただ延々とコピペするだけ、何かを右から左へ移動するだけの時間なら、それはロボットに任せて自動化すれば良いと私は考えています。私たち人間には、私たちでなければ生み出せないアイデアやクリエーション、ソリューションがあるのです。そこに時間を割いて、価値を生み出す。それが私にとって大切な仕事、はたらき方です。そのためにはたくさん学ぶことがあり、まだまだ成長しなければならないと感じています。効率良くはたらかなければ、人生には時間が足りないのです」

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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