「失敗は成功へのプロセス」を胸に、無限チャレンジで前人未踏の高みを目指す ― PERSOL Group Awards2024受賞の裏に(9)赤木 彩香 ―

パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループで最も栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載では、2024年度の「PERSOL Group Awards」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。
第9回目は、パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社(受賞時はパーソルプロセス&テクノロジー株式会社)の赤木 彩香です。

「どんな大きな目標であっても、ブレイクダウンして小さなマイルストーンを設定し、それを一つずつ達成していけば、必ず成功できる」と、いわゆる逆算方式を自身の成功のセオリーとしている赤木。そうしてキャリアを歩んできた赤木に立ちはだかったのが、パーソルビジネスプロセスデザインの社内ベンチャーSEEDS COMPANY x:eee_ANPグループが挑む、一大プロジェクト。これまでのセオリーが通じず苦しむ赤木は、ある言葉でこれまでにない大きな武器と成長を手に入れるのです。

目次

誰かが敷いてくれた「幸せになるための人生のレール」はいらない

大きな目標を達成しようとするとき、逆算してマイルストーンを立てて道筋を明らかにし、そこに到達して小さな成功を積み重ねながら近づいていく。そんな「逆算方式」でゴールを目指す人は多いのではないでしょうか。赤木もその一人。大学時代からこれまでずっと、さまざまな目標を、逆算方式でかなえながら、人生を歩んできたのです。

「目標を立てると、多くの場合、期限も決まりますよね。期限が決まると焦ります。その焦りに追い立てられる。私は追い立てられるとモチベーションと行動力に火が付くんです。きっとそれまでの人生の経験から、『失敗したら次はない』という恐れと『目標を達成したら次に進めるんだ』という希望がずっとあるのだと思います」

「敷かれたレールの上を着実に歩み、大学まで進学した。その先もずっとそのレールに沿って生きていくと思っていた」と自分の過去について話す赤木。レールは人生のずっと先まで敷かれていて、その通り歩んでいけば幸せになれる。赤木は疑うことなく歩み続け、実際、幸せに過ごしていました。

「良い成績を取れば褒めてもらえるし、自分もうれしい。だから迷うことはなかったんです。人生の先まで見えているし、安心もできました。でもそのレールは、自分の足で歩む自分の人生なのに、私の意志で築いたものではない。その違和感に気付いたのは大学の哲学の講義でした。人生に悩み抜いて、さまざまな思想や言葉を残した人たちがいることに魅力を感じたのです」

そして赤木は敷かれていたレールから飛び出す決意をするのです。

「自分の人生を自分で選び取る」という喜びと充実感

赤木は、もっと深く哲学を学べる大学に編入を決めます。その後の赤木は、哲学を学ぶことはもちろん、さまざまなことへ好奇心の羽根を広げて飛び込んでいきました。中でも力を入れたのは、世界旅行。世界遺産を訪れるサークルに入り、世界中に出かけました。アルバイトも注力したことの一つ。世界旅行の費用を捻出するために、いくつもかけ持ちをしたそうです。コンビニ店員、パン屋の店員、塾講師、店頭販売や試食販売スタッフなど、経験した職種は多岐にわたります。

「自分で決意して飛び出した以上、すべてを自分の責任で選んで決めていきたい。自分のことを人に決められるんじゃなくて、自分で見たもの感じたもので判断したい。そんな気持ちに衝き動かされていました。そこには、失敗すれば『言ったとおりにしておけば良かったのに』と言われて次のチャンスがなくなるかもしれない恐怖と、成果が上がっていれば『私の判断が正しかった。文句は言わせない』と先に進める希望がありました。だから失敗しないよう、逆算方式を徹底するようになったのかもしれません」

たとえば「半年後のペルーの世界遺産探訪の旅費は36万円、6ヵ月でそれを稼ぐためには?」とアルバイトを選び、はたらく日数を計算する。そうして逆算方式での成功体験を積んでいったと赤木は話します。そして就職も、その先の人生の目標を起点に考えた結果、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア)に決めるのです。

2012年にインテリジェンスに入社した赤木は、アルバイト採用の『an』と転職サイトの『doda』の営業担当に。産休・育休を取得するまでの2年間、ずっと営業目標を達成し続けます。復帰後は営業企画部で営業向けの研修を担当、新卒社員100人の受け入れプロジェクトを成功に導きます。その後、営業の第一線に戻り時短勤務を続けながら、ママさん営業チームの立ち上げに貢献するなど、どの部門でも大きな成果を上げました。

「どの仕事にも高い数値の目標と厳しい期限がありました。その中で『成果を出さないと、自分の意見が言えないぞ』と自分に言い聞かせ、常に自分を追い立て、それでやる気を燃やしていましたね。多様な経験をする中で、どんな目標も細かく砕いていけば必ず達成できるという自信がつきました」

こうして「追い立てられてやる気に火が付き、そこから緻密に徹底してゴールから逆算して進める」というやり方が赤木の成功のセオリーになっていったのです。

これまでのセオリーが通用しない苦境に心が折れそうに

そんな赤木に大きな転機が訪れます。それは「TikTokアカウントのフォロワー10万人達成」というとてつもなく大きなプロジェクトでした。

「私が所属しているパーソルビジネスプロセスデザインが運営しているアルバイト・パートの求人まとめサイト『アルバイトネクスト』にてtoC向けのブランディングに力を入れていくプロジェクトが発足しました。ターゲットはこれからアルバイトを経験する可能性の高いZ世代。そこで、Z世代に最も支持されているTikTokでフォロワーを集め、『アルバイトネクスト』のファンをつくるというプロジェクトでした。ただ、Z世代は広告動画を嫌います。企業が運営している商業目的のアカウントだと分かると、離脱されて視聴されない、フォローされない可能性が高いのです。そこで考えたのは、あえてパーソルビジネスプロセスデザインやアルバイトネクストの名前は出さず、企業色はもちろん広告感も出さないアカウントにするという案でした」

ゼロからアカウントを立ち上げ「面白いことをやっているアカウントだ」とZ世代に興味を持ってもらい、フォローしてもらう。つまり、コンテンツの面白さで10万人のフォロワーを集める案です。ただ、TikTokでは個人はもちろん、予算を掛けた企業のアカウントでもフォロワー数が伸び悩んでおり、数億円単位の投資をしていると言われている同業他社の人気アカウントでもフォロワー5万人に届いていません。赤木のチームはそれほどの予算は許されておらず、何よりも動画制作の経験がないという状態。

「だからこそ、細かく逆算して目標を立てて挑みました。苦戦することは予想していましたが、余裕を持って立てたマイルストーンにまるで届かず……。最初は、TikTokの人気コンテンツ『踊ってみた』に倣ってみようと、100時間かけて踊って動画を作成、投稿を続けました。結果は最高300回再生、2カ月でフォロワー55人に終わりました。何をすれば効果が出るのか、そのために何をすればいいか分からなくなっていきました」

これまでの自分のセオリーが通用しない。その状況に心が折れそうになっていた赤木を変えたのは、パーソルビジネスプロセスデザインの仲間からかけられた言葉でした。

失敗はどれだけしてもいい。成功をあきらめなければ

「失敗は成功へのプロセス。失敗はおいしい料理をつくるための“スパイス”のようなものだ」

これは赤木の所属するSEEDS COMPANYでよく飛び交う、新しい挑戦の際や失敗した仲間にかけられる言葉。新規事業へのチャレンジが盛んな環境から生まれた組織文化とも言える言葉なのです。いつも耳にしていたその言葉に救われた、と赤木は話します。

「失敗すると終わり。『失敗=悪』という意識が自分の中に根付いていました。だから、これまでは失敗を恐れ、小さな成功を積み重ねてゴールに向かってきた。それで目標も達成できた。でも、それが通用しない世界がある。当たり前のことなのですが、その事実を今回痛感したのです。そして失敗の日々の中で落ち込み、迷いました。そんなくじけそうになっている私を『失敗は成功へのプロセス』という言葉がすくい上げてくれたのです」

同じチームの上司からは「世の中には不可能はない。無限チャレンジあるのみ」という言葉もかけられ、それはそのままチームの共通認識になりました。

これまでは、ゴールに向かって1本の道だけが伸びているイメージ。『無限チャレンジ』は自分の足元から数え切れない道が、選択肢として枝葉を開くように伸びているイメージ。それは「ゴールへの道は一つではなく、無限にある」という希望のようにも感じられるのです。赤木は『無限チャレンジ』の言葉に力づけられ、初心に返って世の中のバズっている数多のTikTokアカウントを研究。さまざまな選択肢を検討し、大きな方向転換を決めます。そしてアカウントを『姉妹と上司のわくドキバ先日常』に一新し、アルバイトを題材にしたショートコントを展開。投稿した動画の再生数が伸びなければ、つまり失敗すれば、分析して次の動画で改善。次々と新たな手を打ちました。その繰り返しの中で少しずつフォロワーは増えていったのです。

「そしてある動画がバズり、100万回再生を達成。合わせてフォロワーも激増しました。本当にうれしかったです。でも、その直後に140万フォロワーを誇るアカウントとコラボしたところ、なぜかフォロワーが減少。本当にTikTokは難しいと驚きました。でもその時も『無限チャレンジだ』とチームで励まし合って、すぐに理由を分析し、次の手を打ちました。そうして11カ月と29日で、目標のフォロワー10万人を達成することができたのです」

その勢いは止まらず、コンテンツをさらに進化させ、現在ではアルバイトを題材にしたショートドラマを展開。フォロワーは増え続け、すでに31万人を突破※2025年1月9日現在。目標をはるかに超え、パワーインフルエンサーとして超人気アカウントへと成長したのです。
「フォロワー獲得はマイルストーンの一つ。魅力的なコンテンツメイクでフォロワーをより拡大しつつ、次のステップに進んでいきたいです。このメンバー、そして会社なら、その時にも失敗を恐れず、果敢に挑戦できると思います。そして、いつかは私の人生の目標である教師になることも目指したい。思った以上に遠回りしていますね。でもこれまでの経験、成功も失敗も伝えられる、目指していた教師には近づけていると思います。でももしかすると教師がゴールじゃないかも知れない。それもまたいいなと思います。固執することなく、『無限チャレンジ』していきたいですね」

着実にゴールを目指す逆算方式に「失敗を恐れない」マインドを加え、大きく成長した赤木。その未来には無限チャレンジという可能性が広がっているようです。

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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