パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループで最も栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。
本連載では、2024年度の「PERSOL Group Awards」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。
第2回目は、パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社の阿部 竜也です。
宮崎県内の26市町村が使う、住民票や国民健康保険などに関わる重要なサービスを司るシステムを、2025年までに国指定の仕様に刷新するというミッション。その進捗率をわずか半年で大幅に引き上げた「自治体DXサポート強化業務」が評価され、アワードを受賞した阿部。新卒1年目の阿部にとって、初めて手がけた大型案件でした。
新卒1年目がつくり出した、圧倒的に大きな成果
宮崎県内の26市町村で使われるシステムのDX化を進める。
2025年度末までに、全国の自治体に課せられているのが、「システム標準化・共通化」というミッション。住民票や国民健康保険など、対象となる20業務のシステムを国指定の仕様に刷新するというものです。現在も多くの地方自治体が取り組み、その実現に苦しんでいます。中でも宮崎県庁は、事業開始当時で進捗率は全国平均よりも下回っている状況でした。そこにコンサルタントとしてチームで入り込み、多くの関係者を巻き込みながら進捗率を上げていったのが、パーソルワークスイッチコンサルティングの阿部。半年で進捗率を大幅に引き上げるという大きな成果を生み出しました。さらに、その実績が全国に広まり、パーソルワークスイッチコンサルティングが新設した「システム標準化・共通化支援事業」の売上を約6倍に拡大するまでになったのです。
この案件に飛び込んだとき、阿部は新卒1年目。入社して初めての案件だったのです。それでもこの巨大案件を振り返り、阿部は「楽しかった」と笑顔で話します。
「はたらく人の、はたらき方をより良く変える。それが社会人になる際に志したことでした。私にとって初めての案件で、関わる人も多い大型案件でしたが、行政のシステムのDX化はまさにやりたいと願っていた仕事。不安より、わくわく胸躍る気持ちが勝っていました。最初は誰も通ったことがない道で、どう進んでいいかも分からないような状態で、まずはとにかく自分の足で走り回ってさまざまな人に話を聞きました。その中で、おぼろげながらも道筋が見えてきたのです。『どんな大きな案件も情報を集めれば解決できる』というのが私の考え。だからこそ、やりたかった仕事に、信じたやり方で挑み、多くのお客さまに『良くなった』と喜んでもらえた。そして、達成感をチームで分かち合えた。貴重な経験となりました」
その志やはたらき方のスタイルは、学生時代にインターンとして活動したNPOの経験が大きく影響している、と阿部は話します。
「政治と社会は、人のどんな想いと行動で動いているのだろう」
高校時代に政治と社会に興味を持ち、大学では社会学を専攻して大学院まで研究を続けた阿部。「大学入学時は何をすればいいのか分からなかったけれど、足を止めるのだけは嫌でした。受験で高まった学びの熱を維持したまま、興味のある分野に飛びこみました」と話すように、NPO法人が主宰するソーシャル・インターンシップに応募し、合格を勝ち獲りました。
「私が選んだのは、地方議員の事務所で広報誌の作成を手伝うなど、議員活動をサポートするインターンでした。中でも面白かったのが、議員に随伴して住民の意見をヒアリングするという活動です。私が配属されたのは、自宅に支援者を広く集めて意見交換をしたりイベントを開催したりと『さまざまな声を聴く』という活動に注力している議員でした。私もそこに参加し、男女さまざまな年齢や職業、バックグラウンドを持つ方から生活の困りごとや行政への要望を聞きました。そこで気付いたのは、話題となるのは新聞やテレビなどメディアで取り上げられるものもあれば、近所の道路でガードレールや街頭がなくて危険なため、どうにかしてほしいといった声などメディアでは取り上げられない要望も多くありました。私自身がメディアなどで見ている景色はほんの一部で、直接聞くことでしか知りえないこともあると思い知らされました」
ただ、メディアや映像を通して知るのではなく、自分の目で見て耳で聴く、そして肌で熱を感じることで、「さまざまな声」への向き合い方、捉え方が阿部の中で変化していったと話します。
「ただの数字や文字だったその情報に、さまざまな人の顔が加わることで『生の声』『本気の願い』となる。人の事情や想い、感情、願いで、情報が生きてくるのです。そして意見に共感し、自分事化できる。思考も深くなる。それが興味深かった。そしてその多くの情報の中から議員さんは意見や要望を掬い上げ、議会で住民の代弁者として本気で討論を行うのです。すべてには対応できませんが、緊急性の高い物から解決していく。意外にもそういった地道な活動で、議会は民意に添い、成り立っているのだなと感心しました。何より、足を運んで意見を聞く、情報を集める大切さを学べたのです」
まずは動く。話に耳を傾け、情報を集める。共感する。
「人に会って話を聴く。そして情報を集める。それ以外にも大切なことを学びました。それは『目線を合わせる』ということ。ついつい『○○してあげる』『○○で解決できる』といった上からの、やってあげるという目線で話をしそうになります。その姿勢では、相手は本当には心を開いてくれないんです。物理的にもしゃがんで、目線を合わせて話す。『一緒に○○しましょう』『○○さんも同じ事で悩んでいた』というと、相手は安心して胸の内を語ってくれるようになるのです」
この姿勢は議員活動をサポートするインターンの後に取り組んだ大学祭の実行委員や就活生をサポートするNPO活動でも活きてきました。
「宮崎県のDX化プロジェクトでもこの姿勢を心がけました。26の市町村のシステムを改修するという、関係者がとにかく多いプロジェクト。人によってシステムについての理解度もゼロから100まで。中には『ウチは困っていない』と言いつつ、内情について理解されていない場合もありました。そういった時に『これを把握されていない』『ここが問題です』『弊社なら解決できますよ』といきなり話しても、相手に心を開いてもらえません。まずは『○○さんはここで困ってらっしゃいました。同じような困り事はありませんか』『ここって分かりにくいですよね』と目線を合わせて話し方を変えるのです。そうすると、少しずつ相手が自分の話をしてくれるようになるんです」
「課題はありますか」といきなり聞いて、「あります」と言える人はほとんどいない、と阿部は言います。課題を認識していない。認識する方法、技術が分からないからです。だからこそ、まず相手に目線を合わせる。相手の気持ちになって深く考え、自分事化ができれば、共感して話ができる。そうすれば相手は聴いてくれ、こちらが課題だと考えていることを、相手にも課題だと認識してもらえる。
その認識合わせができる段階で初めて「弊社なら解決のお手伝いができます」と阿部は話すのです。
「いろんな人がいて、いろんな意見や認識が、人ごとにある。それらをまとめ、どうやって一つの総意を出していくか。それを議員インターンで学んだのです。認識合わせができたら、解決方法を提案します。今回のプロジェクトなら、たとえば国に提出する書類の効率的な作成手順や、システムの標準化のために有効な手法・技術です。それを受け入れていただけたら、必ず結果を出す。つまり『進捗率が上がった』『困っていたことが解決した』と変化を実感してもらう。そうしてやっと『阿部に頼めば大丈夫』という関係性が築けるのです」
人を大事にする。チームになり、仲間になる。それがこの仕事の醍醐味
学生時代の活動を通して自身のはたらくスタイルのイメージが固まり、その上でやりたいことも「はたらく人の、はたらき方をより良く変える」と決まっていた阿部。就職活動時には、コンサルや人事系の企業を中心に受けていました。その中でパーソルを選んだのも、議員インターンの経験がもとになっていると言います。
「人を大事にする。そのために人と会って話し、情報を得る。その大切さと効果を議員インターンで学ぶことができ、その想いを後輩のインターン生にも感じてほしいと思ってNPO運営スタッフになりました。ただ、そのNPOの活動環境は良いものとは言えませんでした。多くのインターン生を抱えていることもあり、結果や数字だけで評価をしてしまうケースも。どうしてそうなったか、どうすれば良くなるかというコミュニケーションに時間が割かれていなかった。私も議員に随伴して多様な人に会うことは楽しかったのですが、そういった環境は辛かった。だからこそ『人の話に耳を傾ける』『自分事としてともに考えてくれる』という人を大切にする会社に入りたかった。たくさんの企業を受けましたが、パーソルワークスイッチコンサルティングは就活生にメンターをつけ、コミュニケーションをしっかりとってくれる。選考にも長い時間をかける。『この会社なら大丈夫だろう』と感じられて入社を決めたのです」
そして新設された行政向けのコンサルティングに立候補したのです。まだ入社1年目ながら、阿部はこれまでの経験をすべて活かし、文字通り走り回りました。時にはシステム担当者だけでなく、その先の各市町村の担当者のもとまで駆けつけたと言います。
「冒頭で話しましたが、一人ではどう進めていいかも分からない状況でした。そんな時、パーソルグループの誰もが私の話に耳を傾け、アドバイスをしてくれた。1年目だからとか最初から無理だとか、否定されることがなかったんです。宮崎県の皆さまも、きっと新卒社員が担当で不安に思われていたと思います。でも、親身になって提案し、結果を出す中で、少しずつ認めていただけた。私も関わる一人ひとりの人柄に触れる中で、ずっと一緒に仕事をしたいなと思えていた。このプロジェクトをやり遂げられたのは、みんなが仲間になってくれている、と感じていたからです。
やりたかった仕事でした。でも、一人では何もできなかったと思います。自分がつくろうと志した環境を、皆さんがつくってくれたのだと感じています」
皆でがんばった。だから大変だったことも、今は「楽しかった」と笑い合える、と阿部は話します。そしてこれからもそんなプロジェクトを、自分が信じたやり方でまたつくっていきたい、と笑顔を見せました。
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。