不安でいっぱいのマネージャー着任、「誰かが助けてくれる」を支えに踏み出した一歩―わたしとDEI(4)根岸 希代己―

パーソルグループは、すべてのはたらく人たちが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会の実現を目指し、DEI(Diversity, Equity & Inclusion)を推進しています。
本連載では、生まれた場所や育った環境、年齢、性別、経験、価値観などの違いを可能性と捉え、多様なキャリアを歩む社員を紹介します。
第4回目はパーソルクロステクノロジー株式会社の根岸 希代己です。

「自分は目立ったり、ぐいぐいいったりするタイプじゃないし、向いてないんじゃないかな……。ほんとに自分ができるんだろうか?」

2023年4月、マネージャーに昇格した根岸は、不安でいっぱいでした。パーソルクロステクノロジー内の技術部や営業部のサポートとして、主に取引企業への請求書発行作業、債権管理などを行っており、普段は上尾オフィス(埼玉)ではたらいています。

マネージャーに就任した際、根岸の部下は上尾・横浜オフィス合わせて5人でしたが、2024年4月の組織変更によりメンバー構成も変わり、名古屋オフィスにいるメンバーもチームに加わりました。名古屋のメンバーとは気軽に顔を合わせることもできない環境ながら、根岸は今、「なんとかなりますね」と笑顔を見せます。
そこにはどんな心境の変化があったのでしょうか?

目次

最初の就職先が傾いての転職

根岸は埼玉県深谷市で農業を営む家に生まれました。両親は深谷名産のネギやほうれん草などを育てていました。子どものころによく農作業の手伝いをしていたので、今でも畑の苗を見ると、「あ、これはジャガイモだ」などと気付くこともあるそうです。

埼玉県深谷で過ごした幼少期(右が根岸)

農業を継ぐことは考えておらず、「簿記や情報処理の資格があれば、就職に有利かな」という理由で地元の商業高校の情報処理科に進学。高校3年生の時、担任から「ここはどうだ?」とすすめられた、誰もが名を知る大企業の子会社に入社を決めました。

1996年春、新社会人になった根岸の仕事はマニュアル作成と庶務でした。

この会社の経営状況が傾き、全社員を対象にした大規模なリストラが行われることになったのが入社6年目。根岸は幸運にも所属部署の部長がはたらき口を紹介してくれて、株式会社日産ディーゼル技術研究所(以降、DRD)に転職することになります。

DRDは2013年にテンプグループ(当時)の傘下に入り、他社との統合と合併を経て2023年1月、パーソルクロステクノロジーとなりました。根岸の所属はそのたびに変わっていますが、最初の転職以来、同じ上尾オフィスではたらいています。

「世話好き」のやりがいとは?

根岸が2003年にはたらき始めた当時、DRDはUDトラックス株式会社の子会社としてトラックの設計、車両実験などを請け負っていました。根岸は設計部に配属され、輸出車両に関する補助業務を担当することになりました。

「扱っているのは商用車で普段近くで目にする機会は少ないですが、業務上必要なため一から車種や車名を覚えました。自然と興味も湧いてきたため、海外旅行先でUDマークのトラックを見かけるたびに写真を撮っていたら、友だちから『トラックに興味あるの?マニアックだね』と言われました(笑)」

2008年に経理に異動になった後、3年間のUDトラックスへの出向を挟み、2017年まで同じ部署で勤務。2017年、日本テクシード(当時)との統合で、パーソルR&Dに社名が変わったタイミングで営業部に移りました。

「会社統合により経理業務が移管されることになり、経理部署がなくなったんです。私は売り上げの管理をしていたので、営業のサポート役として請求書の作成、入金の確認、債権の管理などをするようになりました」

部署こそ異なれど、2008年から長らく同様の仕事に携わってきた根岸。どんなときにやりがいを感じてきたのでしょうか?

「たとえば、2017年に販売管理システムが新しく導入されたんです。その使い方をほかの部署に展開するという役割を担ったとき、本当にいろいろな問い合わせがきました。自分はすでにノウハウを知っていたので、その知識をほかの人に提供してうまくいくようにサポートしていたとき、充実感がありましたね」

根岸は、自身を「お世話好き」と表現します。年齢や年次関係なく、誰かのためにはたらくことにやりがいを感じる面倒見の良さを評価されたのでしょう。所属していた営業部はベテランが多く、根岸にとっては年上ばかりという環境でしたが、上司からも「事務方としてのバックオフィスチームリーダーとしてがんばってほしい」と声を掛けられていたそうです。

押し寄せる不安

2022年4月に社内の組織変更があり、仕事の内容は変わらないまま「営業企画部業務グループ」に異動に。そのタイミングで、アシスタントマネージャー(AM)に就きました。

もともとマネージャーと一般社員だけだった業務グループで、上尾・横浜オフィスと名古屋オフィスにAMの役職が新設され、その一人に選ばれたのです。上司からは「みんなをまとめてほしい」と言われたものの、前任者がいないので、最初は何をしたらいいのか分かりませんでした。そこで、前に所属していた営業部のマネージャーやAMにアドバイスを求め、少しずつマネジメントの仕事に慣れていきました。

「チームのみんながやっていることや体調面を把握する、グループの雰囲気を良くするために動く、何か問題が発生したときになるべく早くキャッチして上司に報告するということを意識して行動するようにしました。具体的には、とにかく積極的にメンバーと会話をするようにしていましたね。メンバー同士の会話にも耳を傾けて、トラブルが起きていそうだなと思ったらすぐにその場で詳細を聞くようにしました」
根岸が「有意義だった」と振り返るのは、AMが部署を超えて連携するための会議。さまざまな部署、立場のAMが集い、悩みを相談したり、情報を共有したりする場です。マネジメントの課題は共通することもあり、多くの学びを得たと言います。また、お互いの立場を気遣うようになって理解が深まったそうです。

そしてAMになってからわずか数カ月後、部長からマネージャー昇格の話がありました。そのときは評価されていることがうれしくて、「ありがとうございます」と答えたものの、一人になると不安が押し寄せてきました。

「過去に受講したいくつかの研修を思い起こすと、マネージャークラスの人からはリーダーシップを感じました。それに、これまでの自分の上司たちには『すごい!』と思えるところがあったけど、同じように自分にできるのかなと。マネージャーの責任の重さを考えると、話をもらった時に断ったほうがよかったかなと思うようになりました」

つらい時期の支えになったもの

根岸の葛藤を和らげてくれたのは、親しくしている元上司でした。「昇格試験を受けることになったんです」と相談すると、「大丈夫だよ!」と背中を押してくれたと言います。

もう一つ、2022年の秋から開催された選抜型の女性向けキャリア研修も励みになりました。そこで、他部署の女性管理職たちから「はじめは自分にはできないと思ったけれど、なんとかなるという気持ちで挑戦してみた」「期待されることは悪いことではない」「何かあったら、誰かが助けてくれる」という話を聞いているうちに、気持ちが軽くなりました。

2023年4月、マネージャーとしての仕事が始まりました。同年1月、3社の合併でパーソルクロステクノロジーになったのを機に組織変更もあり、根岸の部下は5名。それでも、どうやって指揮を執ったらいいのか、どう仕事を頼んだらいいのか、答えが見えないことばかりです。

毎日のように頭を悩ませていた根岸を元気づけたのは、違う部署のマネージャーたちでした。「世話好き」の根岸は頼られることが多く、さまざまな部署の人たちから相談を持ち掛けられます。そうして築いた幅広い関係が、つらい時期の支えになりました。

「帰り際に私の部署に立ち寄って、大丈夫?って声をかけてくれたり、相談に乗ってくれたりしたのには、助けられましたね。私、話を聞いてもらうとスッキリして、今日のところはいいかって切り替えられるんです」

「自分なりのスタイル」をつくる

1年経ってようやく仕事に慣れてきたと思ったところで、定年退職した名古屋オフィスのマネージャーから5人の部下を引き継ぐことに。遠方にいる部下をマネジメントすることに難しさを感じながらも、根岸は試行錯誤を続けています。

「部下が経験豊富なベテランばかりなので、みんなの意見を聞きながら進めています。私はメンバーのことを知るためにもなるべく会話をしたいのですが、物理的な距離もあるので、月に2回は1on1のオンラインミーティングをするようにしています。あと、オンラインの画面越しだと分からない雰囲気を把握できるように、数カ月に一度は名古屋に直接足を運びたいと思っています。名古屋のメンバーからは、自分の気持ちを本音で話せる雰囲気になったと言われました」

もちろん、思い通りにいかないことも少なくありません。しかし、いつでも悩みを聞いてくれる上司や仲間がいることで、うまく気持ちの切り替えができていると言います。マネージャーになってから1年半、気持ちに余裕が出てきて、「なんとかなると思えるようになりました」と振り返ります。

「管理職っていろいろなタイプがいるじゃないですか。私は何事も平和におさめたい性格なので、最近はメンバーを支えるような控えめなマネージャーがいてもいいのかなと思っています。寛容にとか、的確な判断ができるようにとか、こういう風になりたいと思い描いた理想を追いかけながら、自分なりのスタイルをつくっていきたいですね」

パーソルクロステクノロジー請求管理2Gのメンバーとともに(根岸は左上)

<プロフィール>
根岸 希代己(ねぎし きよみ)
パーソルクロステクノロジー株式会社 サービス戦略統括本部 事業運営部 請求管理2G マネージャー
埼玉県深谷市出身。高校卒業後、液晶装置や磁気ディスク関連装置メーカーへ入社しマニュアル作成や庶務を担当。2003年に中途でDRD(旧日産ディーゼル技術研究所)へ入社。設計部門、経理部門、営業部門を経て2022年にアシスタントマネージャー(AM)に昇格、23年4月にマネージャー昇格。現在に至る。

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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