「オバサン」がパワーになる。自分の枠を超えるために、自分でワクワクを模索し続けよう ― PERSOL Group Awards 2023受賞の裏に(1)房前 木綿子 ―

パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループで最も栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載では、2023年度の「PERSOL Group Awards」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。
第1回目は、パーソルテンプスタッフ株式会社の房前 木綿子です。

房前が勤務するテレマーケティングオフィスでは、企業やコールセンター、ナレーションなどの仕事を中心に、企業と派遣スタッフをマッチング。房前は、クライアントの開拓から企業の課題解決、派遣スタッフのマナー指導など、総合的な業務を担当しています。

房前らのチームは今回、パーソルテンプスタッフでのコールセンター業務と声優を目指す若者とをマッチング。若者や企業、声優専門学校、そしてパーソルテンプスタッフにとっても、さらなる成長をもたらすことに成功しました。

目次

40代は、自分で自分の道を探す時期

房前が就職活動をしていた当時は、いわゆる就職氷河期。企業へ就職することすらかなわない人が数多くいる時代でした。房前は、「なんでもやります!って、正直ただそれだけでした」とキャリアのスタートを振り返ります。

「良くも悪くも、『こういう仕事じゃなければ』というプライドもなくて。なんでもやらなきゃと思っていたし、なんでもできると思っていました。そう思っていたのですが、結果的には最初に入った会社は『自分のやりたいことは何か』を徹底的に求められる環境でした。つまり、『何でもやります』じゃダメなんですよね。『どうしたいの?』『将来どうなりたいの?』ってめっちゃ聞かれる(笑)。『自分からやらないと、動かないと』っていう姿勢はそこで身についたのかもしれないです」

そこから転職し、パーソルテンプスタッフへ。コーディネーターとしての仕事は充実し、17年続けました。一方でキャリアに迷いを感じることもあったと言います。

「きっかけは、自身が40代になったことです。前職でも、現職に移ってからも、『何がしたいの?』『将来どうなりたいの?』と聞いてもらえる環境があったし、言えばかなえてもらえました。でも周りが聞いてくれるのって、20代30代のうちなんですよね。40代になったら、『どうしたいの?』なんて聞かれない。そこで40代になったらもう自分で切り開かなきゃいけないな、と気付いたんです。自分の道は自分で切り開く。今度は自分で自分に、どうしたいんだ?何がしたいんだ?と悩み自問しながら仕事をするようになったと思います」

社内の課題やヒアリングを整理すると、プロジェクトが見えてきた

キャリアの悩みが、なぜ新規プロジェクト立ち上げに行き着いたのか。房前に聞くと、「いきなりひらめいたわけじゃなく、5年くらいあれこれ模索した時期もありましたよ」と返ってきました。

「何か新しいことをしたいと思って。でもそれがなんなのか、分からなかったので模索しました。社内公募、異動、研修、いろいろ考えて。最終的に、担当するテレマーケティングオフィスの課題解決に向け、企画書を書いてみようと思ったんです。それが今回のプロジェクトにつながりました」

房前が着目した課題は、まずコールセンタースタッフの高年齢化でした。解決策として房前らのチームは、夢を追う若者、とくに若手声優や声優志望の専門学校生へ積極的にアプローチできないかと考え始めたと言います。

「コールセンタースタッフの全体的な年齢を引き下げたい。これはいくつかの企業から要望がありました。ITやデジタル分野に慣れている世代にはたらいてほしい、というニーズですね。一方で、若年層のスタッフに話を聞くと、彼ら彼女らの周りには疲弊している若者がたくさんいることが分かりました。夢を追いながらアルバイトをして、生活費も、専門学校やレッスンに通うお金も必要。体力的にも精神的にも限界の方が一定数いると聞いたんです。ならばアルバイトで疲弊している若者たちにはたらきかけ、コールセンターではたらいてもらえばいいのではないかと考えました。そうすれば企業の要望にも応えられるし、きちんと収入を得ながら夢を追う道を若者へ提示できる。両者にとっていいですよね。特にコールセンターは声を使う仕事なので、まずは声優を目指す人をターゲットにしたらどうだろう、と。また、シフト制ではたらくことが多いため、夢を追いながらも専門学校の授業との両立がしやすく、安定した収入になり、言葉遣いやビジネスマナーなどの研修も受けられる。そういったメリットを提供できる点も、良いと思っていました」

房前らは、構想を基に声優専門学校へアプローチ。声優として生計を立てられるまでの仕事や、声優を諦めたときの選択肢について、上手く提供できていないことに専門学校側も課題を感じていたため、すぐに興味を持ってもらうことができました。

オバサンだから、は自称すればポジティブワード

房前が周囲のメンバーとともに立ち上げたプロジェクトは、単に若手声優や声優志望の若者にはたらいてもらうだけのものではありません。企業に対しては、コールセンタースタッフの高年齢化という課題を解決。若者に対しては、安定した収入を得てもらう手段を提供し、安心して全力で夢を追うことを応援。専門学校に対しても、これまでなかなかできていなかったキャリア形成の支援をすることができました。三方良しを実現したプロジェクト。アイデアはシンプルですがゼロから実行するのは大変なこともあったと房前は振り返ります。しかし彼女らのチームは、適切に周りを頼ることでそれを乗り切ってきたと教えてくれました。

「すごく正直に、いろんな人を頼りました。『オバサンなんで、分かんないんです』『オバサンですけど、やりたいので力を貸してください』って。そう言うとね、みんな協力してくれるんです。自分から言うと、周りも動いてくれる。自ら道を切り開くってこういうことなのかなって思いました」

房前の話には何度も「オバサンだから」というワードが登場します。一見属性をネガティブに捉える言葉、「オバサン」。しかし房前は、それをポジティブに、自分を鼓舞するように意識的に使っていたと話します。

「属性をネガティブに言うと、本当にネガティブなところに収まっちゃうんですよね。オバサンだからもう新しいことはできないだろう。オバサンなのに人を頼って恥ずかしい、とか。そんな考え方は、チャレンジの邪魔になる。だったら、自分の属性をあえてポジティブな文脈で使ってしまえばいいと思ったんです。『オバサン』だけじゃないですよ。『オジサンだから』『若手だから』と何かを諦めている人、オジサンだからできることも若手だからできることもあるんじゃない?って、考えてみたらいいと思う。私はこれ、『オバサンパワー』って呼んでいます!」

自分の枠を、自分で決めない。枠の外を模索し続ければ、思ったより遠くへ行けるはず

声を扱うコールセンターの仕事と声優になる夢を追う若者とをマッチングさせることで、彼らの夢を後押ししたプロジェクト。今後は声優志望者に限らず、さまざまな職種に展開していけたらと房前は言います。

「まだ構想段階ですが、俳優やタレント、ミュージシャンを目指す人たちにも、新しいはたらく選択肢を提供できると考えています。安定した収入があれば、安定した生活を送りながら夢を追えるというのももちろんですし、もしも夢破れてしまったときだって、この経験が職歴になれば転職活動にも活きるのではないでしょうか。コールセンターだけでなく、たとえば接客業から接遇を学ぶ、なんてことも役に立つ経験となるかもしれません。そうやって何か学びを得てもらう機会も増やせたらいいですね」

実際に2023年秋現在では、コールセンター以外に一般事務領域や接遇領域など、職種の選択肢も増加。房前らのチームだけでなく、他部署との連携も始まっていると言います。

房前にとってのはたらくこととは、「模索すること」なのだそう。「模索することは苦しいことだけど、ワクワクすることでもある」と、彼女は続けます。

「自分で自分の枠を決めてしまわないことが、大事だと思っています。常に枠の外を模索したい。枠から出ることで見える景色ってきっと違うし、枠から出て進んでみれば思っているよりずっと遠くへ行けたりもする。だから模索し続けることを辞めたくないし、模索することこそが私のワクワクです。時には決められた枠から出ることをよく思わない人もいるかもしれません。先程挙げた、『オバサンなのに』とかね。でもそういうのはね、気にしなくていいんだと思う。無駄なこだわりよりも、結果を出してみんなを幸せにしていくことを大事にできたほうがいいですよね」

あえて「オバサン」を自称しながら、その枠をポジティブに飛び越えた房前とそのチームメンバー。プロジェクトを通じて若者の夢を後押したことはもちろん、彼女らのチャレンジし続ける姿そのものも、また次の誰かの気持ちを後押しするものかもしれません。

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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