パーソルクロステクノロジー株式会社は、小学校でのプログラミング教育が必修化されたことに伴い、同社に勤務する大関 三枝子(営業統括本部 新規事業推進本部 Work Value推進部 サービスデザイングループ)が、自身で企画立案したアンプラグドプログラミング学習の“出前授業”を、2020年よりさまざまな小・中学校で展開しています。3月14日には、栃木県壬生町立稲葉小学校にて、1、2年生/3、4年生それぞれの合同授業を行いました。
●アンプラグドプログラミング学習とは
「アンプラグドプログラミング学習」の「アンプラグド」とは、「unplugged=プラグをつながない」の意味で、コンピュータやタブレットを使わずにプログラミングを学ぶことを言います。プログラミングそのものを学ぶのではなく、カードやおもちゃ、本などを使って「目的とその過程」を明確にし、論理的に考える能力=プログラミング的思考を身につけることが目的です。
当日の様子
ここでは、1、2年生の合同授業の様子をご紹介します。
授業は次の3部構成で行われました。
<授業構成>
(1)旗あげゲーム
(2)どっちにプログラミングが使われているかクイズ
(3)ロボットマウスを使って、実際にプログラミングをしてみよう
(1)旗あげゲーム
大関の指示に合わせての旗あげからスタート。大関が「赤あげて!」「白あげて!」と指示を出すと、生徒たちは元気よく旗をあげます。続いて、大関は猫の面をつけて「ロボットニャン太郎(以下、ニャン太郎)」に変身し、ニャン太郎として「ぼくは昨日生まれました!」と自己紹介。その後、生徒の中の一人からニャン太郎へ旗あげの指示を出してもらうことに。ところが、ニャン太郎は指示に従いません。なぜ従わないのか……。すると、その様子を見ていたほかの生徒から「ニャン太郎は昨日生まれたから、赤が分からないんじゃない?」という発言が!この答えは、大正解。ヒントもなしにその理由を言い当てたことに大関は驚きながら次のように語ると、生徒たちは、納得した様子で頷いていました。
「この色が白で、こっちが赤だってことを、みんなは分かっていても、ニャン太郎は分からないから旗あげができないんだね。じゃあニャン太郎が分かる言葉で教えてあげたら旗をあげられるよね。これがプログラミングの始まり。多分みんながイメージしていたプログラミングとは違うけど、この考え方が重要なんだよ」
(2)どっちにプログラミングが使われているかクイズ
「糸電話とスマートフォン、どちらにプログラミングが使われている?」の問いをはじめ、扇風機とうちわならどっち?車と自転車ならどっち?と全部で4問が出題されました。生徒たちはすべてに正解!この結果を受け、大関は次のように話します。
「スマートフォンが普及している現代において、『何か便利だなと思うものにはプログラミングが使われている』ということに、意識せずとも子どもたちはもう気付いているんですね」
(3)ロボットマウスを使って、実際にプログラミングをしてみよう
なんの情報も入っていないロボットマウスに、「前進」「後退」「右」「左」などの動きをインプットし、自分で考えた道に従ってマウスが動き、目的地にゴールするかを実践。楽しみながらプログラミングをしました。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、授業は終了時間を迎えます。最後に大関は、「今日やったことに正解も間違いもありません。大事なのは、何がしたいのか。何のためにやるのか。そういうことを考えて実現することが大切です!」と話し、授業を締めくくりました。
生徒と先生の感想
3、4年生の合同授業でもロボットマウスが使用されました。もちろん1、2年生のプログラミングよりも少し難易度が高くなっています。そんな授業を受けた4年生の生徒と、担任の長谷川 真史先生に聞いた感想をご紹介します。
今回の授業は難しかったです。ロボットマウスがどれくらい進んだところで向きを変えると良いのか、というのが難しいと思いました。でも楽しかったです。これからもやりたいなと思います。
本校は1学年の人数が少ないので、普段から1・2年生、3・4年生というような合同授業をやっていて、子どもたちが協力して取り組むという学習もやっています。普段の2学年合同授業では、やはり上の学年の子が先導して進めていくシーンが多いのですが、今回のプログラミング授業は、みんな「よく分からない」というフラットな状態からスタートしたので、学年に関わらず自分で考えてアイデアを出せているという印象がありました。
本授業を発案、展開する大関のコメント
「プログラミング教育」と聞くと、プログラミングをするための学習というイメージを持たれることが多いのですが、本当に大切なのは、「プログラミング的思考」の部分。プログラミング的思考は、普通の生活や人間関係、仕事にも役立つ思考なので、私は、「プログラミング教育=生きる力を育む教育」であると考えています。
まずは、「プログラミング=難しそう」とならないよう、子どもたちの身近にある“便利”と“プログラミング”を結び付けるなどして興味を持ってもらうことを第一に考えています。
今はプログラミングの領域だけですが、プログラミングはあくまで中身。ハードの存在があってこそ価値を発揮できるものなので、今後は「モノづくり領域」の素晴らしさも子どもたちに伝えられたらと考えています。