WEリーグの新人プロ選手に向けた研修で、「目標を言語化する」ための講義を実施!

パーソルグループは、シルバーパートナーとして協賛する公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)が7月13日~15日にオンラインで実施した「2022-23 WEリーガー研修」のうち、新人プロ選手のみを対象にした研修において約2時間の講義を行いました。登壇したのは、パーソルキャリア株式会社の大浦 征也で、「目標を言語化する」をテーマに実施しました。

本記事では、13日の研修の様子を大浦の講義を中心にご紹介します。(一部抜粋・編集)

当日の様子

研修は朝9時から、ファシリテーターを務めるWEリーグ理念推進担当の小林 美由紀氏と関東学園大学 経済学部 准教授の東明 有美氏の挨拶でスタート。参加した新人プロ選手は42名です。

まずはイントロダクションとして、小林氏からWEリーグの理念やビジョンなどが、東明氏からWEリーグの存在意義やWEリーガーとしての心構えなどが伝えられました。
続いて、元水泳五輪代表の伊藤 華英氏から、メディア対応やコンプライアンスなど、プロアスリートとしての振る舞い方が伝えられ、その後、公認会計士(EV)の多田 雅之氏から、プロサッカー選手は個人事業主であるとして、税金などお金にまつわる知識が指南されました。
そして、休憩を挟み、14時から大浦の講義がスタート!

目次

講義タイトル:「効果的な目標設定と言語化のコツ」

登壇者:大浦 征也(パーソルキャリア 執行役員 エージェント事業本部 事業本部長 doda編集長)

講義は次のプログラムで行われました。

――講義プログラム――

■講 義①:キャリアオーナーシップと目標
■ワーク①:目標を設定してみる
■講 義②:目標設定のコツ
■ワーク②:目標を完成させてみる
■講 義③:言語化のコツ

■講義①:キャリアオーナーシップと目標

大浦は冒頭、「今の不確実性の高い社会では、自分でキャリアを切り開いていくしかない。自分を知り、社会を知り、キャリアを自分の意志で決定していく――、それがキャリアオーナーシップ」であると説明。目標設定の仕方や重要性を、MITメディア・ラボ 元所長 伊藤 穰一氏の「地図よりもコンパスを持つのが大切な時代」といった言葉や、メジャーリーガーの大谷 翔平選手が高校生のときに作成した「マンダラチャート」などを例示し、解説しました。

■ワーク①:目標を設定してみる

まず、参加選手にWEリーガー、もしくは人生の「目標」と「達成するためのアクションプラン」の2つを5分間で書いてもらいました。その後、10分間のグループワークに移行。「人に何かを伝える」、を意識しながら、それぞれの目標をシェアしてもらいました。
大浦も各グループのシェアの様子を見て回り、ワーク終了後に各チームの様子を共有。「中には時間を持て余していたチームもありましたが、目標設定や言語化のレベルが上がっていくと、自分の未来を語るのに2分や3分では時間が足りなくなることもあります。それくらい目標がクリアになっていくといいですね」とフィードバックし、次のプログラムに移りました。

■講義②:目標設定のコツ

WEリーガーに適していると判断した目標設定のコツとして、「SMART法」を紹介しました。
まず、「SMART法」の「S」はSpecificの頭文字で「具体的」を意味すると説明。そして、目標設定をするときに重要なのは、「日常の行動に落とし込むこと」とし、例として「WEリーグのレギュラーになる」という目標の場合、「ゴールを決める」という答えになりがちだが、これではまだ曖昧だとしました。そして、「ゴールを決める」とは、もっと具体的に言うとどういうことなのか……。たとえば「コーナーキックなどセットプレーからのゴールを増やす。そのために、セットプレーのポジショニングや戦略を緻密化する」など、できるだけ細かく具体的にすることが大切で、そうすることが行動へつなげるコツだと説明しました。

その後、「SMART」の「M」「A」「R」「T」に関しても、「S」と同様に具体例をあげながら解説していきました。

SAMART法の、それぞれのアルファベットが持つ意味とポイント

■ワーク②:目標を完成させてみる

大浦は、「皆さんは誰かに強く影響を与える存在なので、自身のためだけの目標にとどまらず、『誰かの何かのために』というところまでつながっていることが大切だと思う」と語り、続いて社会を変えてきた偉人や成功者の共通の考えた方として「ゴールデンサークル理論」を紹介。目標を設定する際、一般的には、「WHAT=何をします」、「HOW=どうやります」、「WHY=何のためにやります」という順番で考えるけれど、偉人や成功者は逆で「WHY」から考えるとし、「何のためにやるか」という「WHY」はとても重要で、これを先に言語化できるようにすると、とても良い目標設定ができると説きました。

そして、次のように例を挙げました。

「たとえば、『得点王になる』いうような競技者としての目標を設定しがちだけれど、『愛される選手になり、社会の女性が一歩を踏み出すきっかけとなる存在になる』」というような、競技を通した『人としての成長』を目標に設定できると、選手引退後の人生にもつながるのではないかと思います。」

その後、グループワークへ。内容は「グループで一人のとあるWEリーガー(架空人物)の目標を考える」というもの。全体への共有では、次のような目標が発表されていました。

「目標は、リーグ最小失点3点に抑える。そのためにシュートを打たせない。被シュート数をリーグ1位にする。1対1の練習を毎日最低10本やる。クロスからの失点を10%減らす、です。」

■講義③:言語化のコツ

自分の思考を整理し、伝える力を身につける「言語化するコツ」を三浦 崇宏氏の書籍「言語化力:言葉にできれば人生は変わる」を引用しながら4つ伝えられました。
1つ目は、自身の「スタンスを明確にする」こと。2つ目は、物事の「本質を捉えること」。3つ目は、自分がどう思い、感じているか「感情を見つめる」こと。4つ目は、語彙を増やすなど「言葉を磨く」ことだと話しました。

そして最後に大浦は、今日の講義を次のようにまとめ、締めくくりました。

「“目標と言語化”は、ビジネスの世界へ進むときや、フットボール文化が根付いている欧米等のサッカーチームでプレイするための通行手形だと思います。そして、“言語化はトレーニング”が必要です。それがなかなか難しい方は、“準備と前向きさ”をもって日々を生き、自分の“好きという感情を大切に”してください。」

こうして1日目の研修は終了。最後は全員で記念撮影をしました。

全員でWEリーグの「W」の文字を両手の指でつくりパチリ

参加した選手の声

(ちふれASエルフェン埼玉)

初めてWEリーグ研修を受けて、今まで自分事にできていなかったことが身近なことであり、もっと知識をつけていかないとその先にある覚悟や責任感というものも言葉だけになってしまうと思いました。このような知識を自ら学ぶことがとても大切だなと思います。プロ、アマチュア関係なく、この組織にいる上では、プロ意識というものを持ちながら日々活動していきたいです。

(AC長野パルセイロ・レディース)

さまざまなお話を聞くことができ、WEリーグ全体の選手の学びが増える講習会だと思いました。この講習会から考えさせられることも多く、また自身でも調べたり知見を増やしたりしていきたいと思います。

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