パーソルR&D株式会社は、1月19日から21日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「第14回 オートモーティブ ワールド」に出展しました。
パーソルR&Dが出展するのは、今回で6回目です。
オートモーティブ ワールドは、自動運転、クルマの電子化・電動化、コネクティッド・カーなど、自動車に関する先端技術を持つ企業が多数出展する世界最大の展示会(※1)です。
今年は、1,050社が出展、3日間で約3万3,000人が来場しました。
(※1)同種の展示会との出店社数、製品展示面積の比較。同イベント調べ。
パーソルR&Dのブース
パーソルR&Dの展示ブースでは、ロボット制御、AI、AGV(無人搬送車)などの最新技術や、パーソルAVCテクノロジー株式会社の技術紹介、名古屋大学・芝浦工業大学との産学連携の研究成果などをパネルや展示物、動画で紹介しました。
今回は、その中でも特に来場者に注目を浴びていた3つの取り組みを、担当者の声とともにご紹介します。
工場や倉庫での現場作業をリモート化するのも夢じゃない!
●パネルタイトル/AGV(無人搬送車)開発・導入支援サービス
AGV(Automatic Guided Vehicle)は、無人走行する搬送用台車のこと。施設内の床面に敷設された磁気テープや磁気棒が発する磁気により誘導されて動きます。
今回は、既販車を進化させたAGVが展示され、開発・導入サービスについての紹介が行われました。
展示のAGVは、パーソルプロフェッショナルアウトソーシングとパーソルR&Dが共同で開発した遠隔操作ソリューションを搭載。スマートフォンやタブレット端末(以下、端末)を用いて、遠隔地からのAGV操作が可能なだけでなく、拡張ユニットでカメラが装備され、端末でAGV視点の映像をリアルタイムで観察できるというものです。つまり、AGVが目視できない場所にいても、ルート上に障害物があるかどうかなどを事前に端末で確認して、回避操作をすることが可能というわけです。
今、実現したいと思っているのは、「工場や倉庫での現場作業のリモート化」です。そうした新しいはたらき方は、生産性向上につながるだけでなく、作業現場に通勤してはたらくことが難しい高齢者の方や子育て・介護中の方、障害者の方などの労働参加の機会にもなると考えています。
導入支援サービスでは、AGVの機体選定、走行ルートや速度の検討といったところから、ご支援が可能。AGVへの搭載機能は、要望に合わせてカスタマイズ開発もできます。
これからもソリューションのさらなる高度化を進め、新たなはたらき方の創出を目指していきます!(担当:藤井 勝仁)
オープンソースのソフトや無料通信を利用し、低コストで社会貢献
●パネルタイトル/社会高度化に向けたスマート技術
今後自動化が加速する領域で重要な技術と見られている、ROS2の活用とLPWA(Low Power Wide Area:低消費電力で広範囲の通信ができる無線通信技術の総称)の技術に着目した取り組みが紹介されていました。
今回はROS2を活用した取り組みについてご紹介します。
<ROS2+機械学習>
ROS (Robot Operating System) とは、ロボットシステムを設計するためのオープンソースのソフトウェアです。ROS2はROSが進化したもの。今回お披露目されていたのは、このROS2にさまざまな技術を組み合わせて作られた自律移動ロボットです。
ロボットには、カメラや超音波センサーが搭載されており、カメラが撮影した画像や、超音波センサーが測定した周囲の物体との距離といった情報をROS2が認識し、ロボットは物体を避けながら自律移動します。カメラ画像に写る物体をより正確に認識させる機械学習にもオープンソースのソフトウェアが使用されています。
オープンソースのソフトウェアは、コストを抑えられるという魅力があります。今回展示している自律移動ロボットの技術を搭載した別の形のロボットが、実際病院で薬剤などを運んで活躍しています。現在は室内での事例だけですが、将来的には屋外などにもフィールドを広げていきたいですね。物体認識ができるので、衝突を避けながら進めるのはもちろんですが、ロボットにアームを付ければ特定の物体を拾ってくることも理論的には可能です。実現のためには、まだまだ乗り越えなければならない壁がありますが、たとえば街中に設置されているゴミ箱の中のゴミや、落ちているゴミなどを回収してくる――そんなことができたらいいなと思っています。(担当:中嶋 信敬)
用途に合わせて回路を変更できるFPGAの導入を仕様検討から納品まで一括対応!
●パネルタイトル/エッジAI認識とFPGA制御による物体把持デモストレーション
エッジAIとは、末端装置に搭載されるAI(人工知能)のこと。FPGA(Field-Programmable Gate Array)は、集積回路(IC)の一種です。集積回路は、通常一度「A+B」などと回路を決めたら変更できませんが、FPGAは内部の回路構成を自由にプログラムできるのが特徴です。
デモンストレーションではカメラと、FPGAが搭載されている基盤、そしてロボットアームをつなげ、3色あるブロックの中から、必ず青色のブロックを選んで掴むという動作が披露されました。
今回の展示では、まず、カメラで3色のブロックをPCモニターに映し出します。そして、AIがブロックの色を判断。AIで認識した画像の中から決まった「色(今回は青)」を掴む回路をFPGAにプログラムしています。通常の集積回路では、プログラムを書きかえることはできませんが、FPGAの特徴を生かして回路をプログラムし直せば、たとえば「〇」「△」「□」と書いてある箱の中から、「〇」の模様のものだけ掴むということも可能。つまり、FPGAを使えば、集積回路自体を交換しなくても、プログラムを変更するだけで、用途に合わせて柔軟な対応ができるということです。たとえば、工場のFA機器などで機能の変更を行う場合、基板の交換とソフトウェアの変更が必要となりますが、事前に基板をFPGA化しておけば基板の変更が不要となり、FPGAソフトの修正と動作させるソフトウェアの変更で機能変更の対応が可能になるというわけです。また、FPGAは、目的に合わせて最小限の回路だけを動かすことができるため、消費電力が少なくて済むというメリットもあり、コスト削減にもなります。仕様の検討(構想設計)から納品まで、すべての工程に対応可能ですので、ぜひご相談ください。(担当:三浦 克介)
コロナ禍で開催された本展示会でしたが、パーソルR&Dのブースには3日間を通して多くの方にご来場いただき、さまざまな「尖った技術」を知っていただく機会となりました。