自分に対する苛立ちは、ストレスで終わらせず成長の糧に ─ PERSOL Group Award 2021受賞の裏に(3)村井 佑莉花 ─

パーソルグループでは、年1回、グループ内表彰「PERSOL Group Award」を実施しています。「PERSOL Group Award」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループでもっとも栄誉ある賞のこと。各 SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載では、2021年度の「PERSOL Group Award」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。第3回目は、パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 村井 佑莉花です。

成長への強い欲求を持ちながら、一時期は人知れず思い悩んでいたという村井。飛躍のきっかけは思いがけないところにありました。

目次

1年目から早くも単独で案件を担当

「新卒で入社して1年もたたないうちに、早くも1人で案件を任せてもらうようになりました。これは他社では稀なことなので驚きましたが、もともと若い年次のうちから裁量のある立場でお客さまのコンサルティングにあたりたいと思っていたので、私にとっては理想的な環境でした」

おっとりとした物腰とは裏腹に、新卒入社の時点から強い意欲をたぎらせていた村井。現在所属するワークスイッチ事業部は、顧客の働き方改革を支援するコンサルティング部門です。就職活動の時からこの事業部に狙いを定めていたという彼女は、その理由について「エネルギッシュにはたらいている先輩たちの姿が印象的で、この会社ならきっと活躍の機会を与えてくれるに違いないと直感しました」と語ります。

村井のミッションはBIツール(データ分析ツール)によるデータ活用支援。望んでいた通り、早くから前線で活躍する機会に恵まれました。

「むしろ、いざはたらき始めてみたら、与えられる裁量が大きすぎることが、想定していたはたらき方とのギャップと言えばギャップでした。今思えば、このあたりは私の認識が少し甘かったのでしょうね」

そう言って自嘲気味に笑う彼女は、入社直後にいくつかの壁にぶつかり、苦しい時期を過ごしたと振り返ります。

入社直後に思い知る自身の力のなさ

「最初にアサインされた案件で、早くも現実の厳しさを思い知らされました。IT全般に関する技術や知識が、お客さまが求めるレベルに達していないため、プロジェクトがスムーズに進められず、納期にどうしても間に合わない状態に追い込まれてしまったんです。かといって、インプットも追いつかない状況。とにかく毎日お客さまに電話で現状を伝えながら、ほとんど半泣きで闇雲に作業を進めるしかない状況でしたね」

自分はもう少しやれるはず。自分はもっと通用するはず。そんな想いを空回りさせながら、目の前の案件に喰らいつく日々でした。

「知識も経験もないから仕事の進め方が分からず、頑張れば頑張るほど悪循環に陥っているような状況でした。周囲とのコミュニケーションも明らかに不足していましたし、反省点が多すぎて思い出すのも恥ずかしいですね」

それでも、先輩社員のサポートを受けながら、どうにかプロジェクトを遂行。初案件は苦い薬になりました。

その直後、今度は大手電機メーカーのデータ活用支援のプロジェクトにアサインされることに。2カ月限定の短い案件でしたが、同じ失敗はできないと、村井は前回以上に闘志を燃やします。

「この時の私のミッションは、既存のBIツールを『Tableau(以下、タブロー)』という別のサービスに置き換え、新たなダッシュボード(データ可視化ツール)を構築することでした。でも、やる気はあってもすっかり自信をなくしていたので、内心では“こんな若者に仕事を任せるのは、お客さまもきっと不安だろうな”と思っていました」

しかし、だからこそこの機会を名誉挽回のチャンスにしなければならないと、すぐに気持ちを切り替えました。

プロジェクト管理がまったくできていなかった前回の反省を踏まえて、今度はリスク管理を徹底しながら、慎重に業務を進めた村井。その結果、この時に村井が構築した営業マーケティング支援などの3つのダッシュボードは有効な結果につながり、顧客から予想以上の好評を得て、3カ月目以降も引き続き支援を続行することになりました。

再び直面した壁

これが村井にとって、はじめての成功体験でした。とはいえキャリアはまだ1年弱に過ぎず、知識も経験も十分ではありません。

そこでその後のダッシュボードの構築にあたっては、必要な情報を必死にかき集めながら、彼女は設計、構築、納品までを一人でどんどんこなしていきました。背景にあったのは、二度と同じミスはしたくないという強い意志です。

一つの壁を乗り越えた村井はやがて、主担当である電機メーカーの案件を進める一方で、自らに新たな課題を課します。

「それまではタブローだけに特化して仕事をしていたので、どこか世界が閉じているように思えてならなかったんです。そこでタブロー以外の新しいことにチャレンジしようと試みたのですが、結果的にキャパオーバーを起こしてしまい、その件に関して言うとまたしても周囲に助けを求めることになってしまって……。仕事量が増えるのは承知の上だったのに、自分の未熟さをまたしても思い知らされました」

タブローに特化した人材と認知されるのは、もちろん悪いことではありません。しかし、タブローしか知らないまま年次を重ねていくことに、強い抵抗感があったと村井は振り返ります。

「タブローが使えることで、社内的に少しは重宝されていましたが、IT業界全体で見れば、ほかにもさまざまなスキルが必要とされます。そう考えると、お客さまに貢献できる引き出しも限定されてしまい、ずっと同じ場所に立ち止まったままになってしまうのではないかと、不安になってしまったんです」

自分の経験値を広げたいと願っていることを周囲に知ってもらわなければ、チャンスもまわってこないと考えていた当時の村井。しかし歯車がうまく噛み合わず、自己嫌悪に陥る日々でした。

前へ進んでいる実感がなければ焦ってしまう

明確な目標を定めているわけでもないのに、前へ進んでいる実感が持てなければ焦ってしまう性分。それが村井の自己分析です。

「もう少し腰を据えて目の前の仕事と向き合えばいいのに、なぜかそうできないんですよね。そこである日、親に『私、なんでいつもこんなに焦っているのかな』とこぼしたら、『あなたは2歳、3歳のころからそんな感じだったわよ』と言われて驚きました。母が言うには、家族で出かける際も、重くて大きな鞄をどうしても自分で持ちたがり、取り上げようとするとギャン泣きする強情な子どもだったそうで……。実際には持てなくて引きずっているのに(笑)。でも、なんだか妙に納得してしまいました」

つまり、「周囲が普通にやれていること」を自分ができないことに納得できない、常に“他人軸”で考えているのが自分の性格なのだと村井は言います。

「周囲や市場を見ながら、相対評価として高く評価してもらえることを望むのは、子どものころから変わっていません。だからこそ、仕事面でもいろんなことがやれる人材にならなければと、幅の広さを求めてしまうのでしょうね」

こうして入社以来さまざまなことを積み重ねてきたことで、村井は着実に成長を遂げてきました。1年目から携わってきた電機メーカーの案件は今も継続し、気が付けば彼女が構築したダッシュボードは価格設計や経営管理指標など12テーマ・約200件にのぼります。

その過程では顧客からの強固な信頼を勝ち取り、村井はお客さま先での研修講師を任されるようになりました。今回、「PERSOL Group Award」の受賞を果たしたのも、まさにこうした成果が評価されてのことです。

「タブローは導入して終わりではなく、その後社内で使いこなさなくては意味がないので、社内浸透のためにお客さまからタブロー研修も任せていただけるようになりました。タブローに苦手意識を感じていた年配の方や管理職の方も使える状況になり、お客さまのITツールへの考え方を変えるお手伝いが少しはできたのかな、と思います」

そう控えめに笑う村井ですが、まさしく自身が求めていた“仕事の幅の広さ”が体現されつつあることに、きっと気付いているでしょう。

目指すのは「ITコンサルタント」

村井の成長を支えているのが、飽くなき向上心であることは間違いありません。では、その源泉は何か?

「強いて挙げるなら、負けん気だと思います。まだまだ実力不足や経験不足からお客さまの要求に応えきれず、自分に対して苛立ちを覚える局面も決して少なくないのですが、そういうモヤモヤした想いをすべて、“見返してやるぞ”という気持ちに変えることが、私のモチベーションの源です。だから、何か負い目を感じるシーンがあると、それをこっそりメモして残しているんです。相手を不安にさせない成果を出すために」

人知れずメモにしたためている、誰かに言われた何気ない言葉。それはストレートなお叱りもあれば、自分自身への感想であることもあるそうです。しかし、そこに何かしら自分の弱点を示唆するニュアンスが含まれていたなら、時折それを見返して、「次は絶対に同じことを言わせないぞ」と自らを鼓舞する。これが村井の言う「負けん気」の正体です。

まもなく入社から4年目を迎える村井ですが、向上心はまだまだ尽きません。

「今の私の肩書きはBIコンサルタントですが、5年目くらいには、ITコンサルタントと胸を張って言えるくらい、さらに仕事の幅を広げたいですね。実力が追いついていない自分にイライラすることもありますが、見方を変えれば、その不足を埋められれば目指す姿に近づけるわけです。だからイライラはむしろ、目標の在り処を示してくれる指針のようなものと思うようにしています」

明確な目標を持っていなかったはずの村井ですが、気が付けばその視界には、ちゃんとなりたい自分の姿がとらえられるようになっています。飽くなき向上心を原動力に、今後のさらなる成長が期待されます。

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