スピードを上げ、かつてない挑戦に向かう。そこに必要なのは「万全なブレーキ」。大金 利典/PERSOL Group Awards2025 歩み続けるそれぞれのストーリー

パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループで最も栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載「歩み続けるそれぞれのストーリー」は、2025年度「PERSOL Group Awards」を受賞した社員たちそれぞれが、どんな人生を歩んで成長し、受賞の栄誉を勝ち取るに至ったのか——。彼らの人生を形づくるバックボーンや、仕事への情熱、そして大切にしている想いが生まれたエピソードなど、これまでの歩みをストーリーでご紹介します。

プロフィール:
パーソルクロステクノロジー株式会社 大金 利典(2013年入社)

受賞案件サマリ:
大金の所属する実験部は、各商用車やトレーラーなどを製造する自動車メーカーのブレーキ認証業務を担当している。何十項目もある試験を実施し、結果をまとめて国や関係する機関へ提出するための書類作成を請け負っている。今回は、ユニットハウス専門メーカーから、災害支援などで活用できる「居住スペースを乗せたトレーラー」のブレーキ認証試験を受託。トレーラーの設計段階から関わり、無事に認証試験をクリアした。

目次

圧倒的なスピードを実現するのは万全なブレーキだ、と大人たちが教えてくれた

「運転スキルを磨くのはもちろん大切だが、整備に力を入れないとだめだ。中でもブレーキの整備はどれだけやっても慎重すぎるってことはないから、ミスがないか何度もしっかりチェックして」
スポーツ走行に出るために通っていたサーキットで、いろんな大人から何度も聞かされた言葉だ。私の高校時代の趣味は、バイクいじり。電気科に進学し、バイク通学を始めたのがきっかけでバイクを改造するようになった。パーツを替えたりセッティングを変更したりと、少しの変化でもバイクの走りはガラッと変わる。それが面白くて、一気にはまった。その熱が高じ、地元のサーキットで開催されるスポーツ走行にも出るようになったのだ。周りはみんな大人。多くは素人で、私同様に自分なりにチューンナップし、速さを競い合っていた。成績が良ければ地方予選や全国大会に出場するチャンスがつかめるので、誰もが熱心だった。いや、ギラギラに本気だった。
お互いに技術のトレンドや自分なりの整備の仕方などをシェアしつつも、本心ではみんなを抜き去ってトップでゴールに飛びこみ、チェッカーフラッグを浴びることを目指している。だから本当のコツは明かさない。そんな子どものような大人のライダーたちに交じって、高校生の自分も同じように情熱を燃やしていた。
私が初心者なのは、年齢はもちろん、道具や手つきを見れば分かる。大人たちは新参者の私にいろいろとアドバイスをくれた。みんな自分の理論や哲学をベースに、十人十色のノウハウを伝授してくれたけれど、異口同音に話すのが冒頭の「ブレーキが要」という話。

バイクは、事故を起こせば大ケガを負う。最悪、命を危険にさらす。スピードを競うレースでは、その危険性が各段に上がる。それを防いでくれるのがブレーキ。まさに命綱だ。スピードを上げるためにエンジンの改良ばかりをするより、適正にブレーキングできるように調整する方が、結果的に成績が上がることも少なくない。

ブレーキがあるから、さらなる速さを目指せる。
ブレーキがあるからこそ、安心して、果敢に挑むことができるんだ。

それには私も100%同意だった。だからブレーキはレースの直前まで時間をかけて入念に調整を行った。臆病な性格だったことも、その理由の一つだ。事故を起こしてケガをするのが怖い。だから絶対に避けたい。レースの醍醐味を最大限に味わいつつ、徹底的に安全に走りたい。だからこそ「ブレーキは万全に整備した」と納得して走りたいのだ。

高校時代から20年以上経った今も、趣味でバイクに乗っている。家族ができ、仕事でもチームをまとめるようになった私には、守るものがたくさんある。だから余計に、ブレーキの重要性を、あの時以上に感じているのだ。

性格も災いしてか幸いしてか、開発の仕事に身を投じることになる

高校時代はバイクのレースにどっぷりだったけれど、レーサーになろうとは思わなかった。だからいじるほう、整備の仕事を目指すようになった。進学したのは、自動車メーカーが母体の整備専門学校。卒業すると、そのメーカーの整備士として整備工場やディーラーに就職できるのが魅力的だった。
ただ、卒業を前に、何があってもケガや事故を避けたい、とやりすぎるくらい整備をしていたころの気持ちを思い出し
「お客さまの車を整備するのは怖い」
と思ってしまった。
整備に万が一でも不備があれば、命に関わることになる。そのプレッシャーと戦いながら日々仕事をすることになる、と思った。そして万が一を自分の手で起こしてしまうのが、怖かった。

「募集人数は多くないが、メーカーの開発の仕事もある。そこに挑戦してみるか?」
悩み迷っている自分を見て、教師がそう教えてくれた。メーカーの開発に携わることができれば、製品の安全性を追求し向上させる仕事が手がけられる。慎重な性格にも合っているのではないか。自分を含め、たくさんの人に安全な製品を届ける仕事だ。そこに大きな魅力を感じた。

そうして開発部門に就職。最初に担当したのは小型トラック。偶然にもブレーキ関係の業務だった。それから今日まで20年以上、ずっとブレーキに関する業務を担当している。関連会社に出向したり、会社が分社化して転籍になったり、その会社が合併でパーソルクロステクノロジーになったりと、さまざまな環境の変化があった。それでも変わらず、私の担当はトラックのブレーキ。不思議な縁だな、と思う。でも、これから世に出る製品の安全を担い、それを使うお客さまの命を守る、そんな存在であるブレーキに携わる仕事には、責任とともに使命を感じているし、やりがいもある。何より、慎重な性格が活きているな、とも思ったりもしている。

安全な製品を世に送り出すために避けて通れない重要な関門が、ブレーキの認証試験

小型から中型、そして大型と、携わるトラックのサイズは、少しずつ大きくなっていった。身につけた経験を活かしつつ、新たに学ぶことも多い仕事の中で、しっかりと成長しながらこの20年を歩んできた。
現在パーソルクロステクノロジーで多く手がけているのは、商用車メーカーやトレーラーのブレーキ認証業務。まだ世に出ていない開発途中のトラックを預かり、その車を使ってブレーキの試験を実施する業務だ。そうしたブレーキの認証試験は非常に多く、約7割は実車で走行を行い、データを記録する。結果をまとめ、国土交通省や関係役所に提出する書類の作成業務を当社で請け負っている。
商用車や大型トレーラーは、積載するのが巨大なペーパーのロールや、場合によっては風力発電の機器や航空機などと特殊な場合が多く、ときには輸送するものに合わせてトレーラーを製造する。その特殊性のため、認証試験を自社で行えるメーカーは少なく、請け負える会社も少ない。パーソルクロステクノロジーはそれをワンストップで受注できる、数少ない会社なのだ。

認証試験にパスできなければ、心血を注いで開発してきた新製品は発売できない。メーカーの命運を左右するといってもいい、重要なステップだ。公正で適正、そして慎重かつ迅速に行うことが求められる。
そして前述のような特殊な超大型トラックは、貴重かつ高価なもの。万一でも事故が起これば、目も当てられない損害が出る。人の命を危険にさらすことだって多いにあり得る。「そんな事故を、自分が担当したブレーキが原因で、起こしたくない。絶対に」という気持ちで仕事に臨んでいる。臆病さを逆手に取って武器にして、「重要な仕事に責任を背負って携わっている」と覚悟し、慎重を期してとことんていねいに業務を遂行するようにしているのだ。
試験を繰り返す日々は、常にヒリヒリと緊張感がある。無事に試験をパスし、携わったトラックがリリースされると、大きな脱力感と安堵感が押し寄せてくる。そして達成感とともに、また一つ成長できる貴重な機会を得られたなと感じるのだ。

「安全な製品を世に送り出す」という業務の集大成と言えるプロジェクトに全力で挑む

ずっとブレーキを手がけてきた私のキャリアの一つの到達点とも言えるのが、今回アワードを獲得した案件だ。クライアントは、仮設事務所や小型倉庫などのユニットハウスを専門に製造しているメーカー。自動車業界の企業ではない。請け負ったのは「居住スペースを載せたトレーラー」の認証実験。クライアントにとっては、初めてとなる挑戦だった。
トレーラーに積載するのは、ラグジュアリー感のある快適な居住空間が特長の、いわばトレーラーハウスだ。レジャーや旅をしながら生活するというのにも使えるが、災害時の仮設住宅としても活躍する。

「東日本大震災の際に仮設住宅を提供し、その重要性を痛感しました。ユニットハウスを専門に手がける会社として、災害に遭って困っている人のためにもっとできることはないかと、この製品を企画したのです。2024年の能登半島地震では、いち早く被災地にハウスを届けようとしたのですが、道路の被害が大きく、また車両も調達できず、それはかないませんでした。本当に悔しかった。そこで、ハウスだけでなく、それを載せられるトレーラーも自社で開発しようとなったのです。ただ車両の製造のノウハウがなく……」
それで多方面を当たり、当社にたどりついたと、担当者は話してくれた。
この挑戦のきっかけを聞き、なんとしても自分の手で成功に導きたいと思った。

課題となっているのは「重量のあるハウスを積んだ際のブレーキの性能」。どれくらいのブレーキの性能があれば安全性が確保できるか、クライアントには分かっていないのだという。ブレーキを適正にしなければ、もちろん認証試験はパスできない。何より、安全に被災地へハウスを届けることはかなわない。そこでパーソルクロステクノロジーは、車両の仕様策定からアドバイスを行い、クライアントと二人三脚でトレーラーの製造を進めていった。私も案件のリーダーとして、これまでの自分が得た経験、培ったスキルをフルに発揮した。その結果、認証試験はNGなしの1発クリア。無事に発売の日を迎えることができた。

「災害は起こらないのが一番。だけれど、もしも起こった際には、このトレーラーでこれまでよりも早く、何より安全に被災地に駆けつけられる。困っている皆さんに、快適に過ごしてもらえるこの仮設住宅を確実に届けられる。まったくノウハウのない私たちの挑戦を、成功まで伴走して導いてくれ、本当にありがとうございます」
クライアントからもらったその言葉に、高校時代にサーキットで大人たちがくれた言葉が甦ってきた。

ブレーキがあるから、安心して、果敢に挑むことができる。
ブレーキがあるから、さらなる速さを目指せるんだ。

私の性格はこれからも変わらないだろう。だからこそ、ブレーキの重要さを知っている。人の命を守るブレーキの重要さを。そしてしっかりと整備されたブレーキがあるからこそ、人は大胆にアクセルを踏み、挑戦できることも知っている。今後もたくさんのメーカー、そこにいる人の挑戦を、ブレーキから支えたい。そうして安全な製品を世に送り出す手伝いをしていきたいと思っている。

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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