
パーソルグループは、DEI(Diversity, Equity & Inclusion:ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の取り組みを通じて一人ひとりが活躍できる組織・社会を目指しています。
2025年4月、パーソルホールディングス株式会社はグループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現に向け、新たな執行体制へ移行しました。
今回、パーソルホールディングス初の女性執行役員として、CLO/CRO(Chief Legal Officer / Chief Risk Officer)に菅 奈穂、CGDO(Cheif Gender Diversity Officer)に喜多 恭子が就任しました。
それぞれ異なる専門領域を持ちながら、同じタイミングで執行役員に就任した2人。2030年までに女性管理職比率を37%にすることを目標に掲げるパーソルグループの一翼を担う菅と喜多は、今何を思い、どんな未来を描いているのでしょうか。これまで歩んできたキャリアを振り返りながら、目指す未来への想いを聞きました。

菅 奈穂
執行役員 CLO/CRO
2000年弁護士登録(52期)。法律事務所勤務を経て、2014年パーソルグループに入社。現パーソルホールディングスの法務室長(2016年から法務部長)として国内外の戦略法務案件に関与するとともに、2019年からはガバナンスも担当。2025年4月にパーソルホールディングス 執行役員 CLO/CRO(Chief Legal Officer / Chief Risk Officer)に就任。

喜多 恭子
執行役員 CGDO、パーソルグループ・ジェンダーダイバーシティ委員会 委員長
1999年、パーソルキャリア(旧インテリジェンス)に入社。派遣・アウトソーシング事業、人材紹介事業などを経てアルバイト求人情報サービス「an」の事業部長に。中途採用領域、派遣領域、アルバイト・パート領域の全事業に携わり、2019年に執行役員・転職メディア事業部事業部長。2022年4月より人事本部長。2023年4月よりdoda事業本部の本部長に就任。2025年4月にパーソルキャリア 取締役副社長 執行役員 兼 パーソルホールディングス執行役員 CGDO(Cheif Gender Diversity Officer)に就任。
CLO/CROとCGDO。“肩書き”を超えて感じる意義
——就任した今のお気持ちを聞かせてください。
菅: 率直に、とてもうれしかったです。というのも、CLO(Chief Legal Officer)のポジションは、前任の林 大介さんが2021年にCLOを退任して常勤監査等委員へ就任されて以来、長らく空席が続いていました。私は、強固な経営を実現する上で経営陣の中に法務の視点を担う役割も必要だと考えており、これまでも代表取締役社長の和田(孝雄)さんにその必要性を伝えてきました。
しかし、当時の私はまだその役割を担うには力不足でしたし、一方でCLO不在の状態に関してメンバーから「経営において、法務やリスクマネジメント、コンプライアンスという領域はそこまで必要な機能と受け止めてもらえていないのではないか」との不安の声が聞こえてくることもありました。そういった背景もあり、今回の就任は私にとっても、そしてともにはたらくメンバーにとっても、大きな一歩になったと感じています。

喜多:私は就任を受けて、これまで以上にジェンダーダイバーシティと真摯に向き合っていかなければと気が引き締まりました。2021年に発足したジェンダーダイバーシティ委員会の委員長として、DEIを推進する旗振り役を担ってきた経緯があり、社内では2030年までに女性管理職比率を37%にするという目標も掲げていいます。そのため、就任はあくまで“これまでの延長線上”という感覚です。
とはいえ、今回いただいた「CGDO(Cheif Gender Diversity Officer)」という役職名は、世界的に例の少ないユニークなもの。この役職を拝命した意義を、これから社内外に示していく必要があると感じています。また、同時期にパーソルキャリアの取締役副社長 執行役員にも就任しました。執行役員という立場でありながら、現場に近い場所にいる人間として、現場で起きているリアルな声を経営に活かしていくことが、私の大切な役割だと思っています。
——お2人は、お互いにどのような印象を持っていますか?
菅:喜多さんは、執行役員になるべくしてなったと感じています。これまで業務では直接ご一緒する機会はありませんでしたが、それでも多様なプロジェクトでリーダーシップを発揮され、常に最前線を走る姿を見てきました。第一線で活躍されてきた喜多さんの存在が今、とても心強いです。
喜多:ありがとうございます、そう言っていただけてうれしいです。菅さんは、法務という守りの部署を担う立場だからこそ、一見すると冷静で一貫性のある方という印象があります。でも、実はとても情熱的な方でもあるなと。やり取りを通じて、ご自身の中の正義に対してブレることなく、強い信念を持って行動されていると感じています。

当たり前じゃなかった道のりを、まっすぐに進んできた
——改めて、お2人のキャリアについて教えてください。
菅:ファーストキャリアは法律事務所で、企業の外部アドバイザーとして経験を積み、その間に2度の出産も経験しました。2014年、パーソルグループがホールディングス体制に移行するタイミングで入社し、入社後は法務室長を経て、2016年に法務部長、2019年からはガバナンス領域を、2020年10月からは法務・ガバナンス・リスクマネジメント・コンプライアンスを管轄する本部長を務めています。
喜多:そもそも、どうして弁護士という道を選ばれたのか気になります。
菅:高校生のころから、経済的に自立して生きていきたいと思っていました。父が会社員だったこともあり、最初は自分も会社員になるのかなと考えていましたが、「女性が仕事を続けるには資格があった方がよいだろう」と思い至り、弁護士を目指すようになりました。
今回、パーソルホールディングスとして初めて、女性の執行役員に就任することになりましたが、正直、「女性初」といった冠に対してはあまり特別な感覚はありません。それは、大学の法学部でも法曹界でも女性は2~3割程度と少数派だったので、そういう環境に慣れてしまっているからだと思います。ただ、私が出産や育児に奮闘していた当時の法曹界はサポート制度もまだ未整備で、本当にマイノリティという感じでした。パーソルグループに入社してからは、性別や家庭環境にかかわらず多くの機会が与えられ、フラットに評価される環境で、のびのびと充実してはたらくことができています。

喜多:私は1999年に旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社し、派遣・アウトソーシング事業、人材紹介、新規ビジネスの立ち上げなど、あらゆる商材に携わってきました。2021年に和田さんが代表取締役社長 CEOに就任した際、ジェンダーダイバーシティ委員会が発足し、委員長を打診いただいたのがこの肩書きをいただくスタートでした。
菅:委員長の打診は、すぐに引き受けられたのですか?
喜多:いえ、最初は慎重でした。「トップが本気でコミットしない限り、本質的なジェンダーダイバーシティは実現しない」と和田さんにはっきり伝えました。というのも、過去にも女性活躍推進の動きがありながら、結果的に頓挫してしまった取り組みを見てきたからです。本気で女性活躍を推進していくためには、経営層のコミットメントが必要不可欠。そうした私の考えを共有した上で、和田さんと何度も対話を重ねました。やりとりの中で和田さんの本気度を感じ、最終的に委員長を引き受ける決意をしました。
今回、“女性初の執行役員”と表現されることに対しては、正直「いまだに“女性初”がつくのか?」という想いがあります。CGDOとして、そうした“女性初”の意味を、自分の行動で問い直していきたいと思っています。

——パーソルは、社会に出てはたらく女性がまだ少ない1973年という時代に、創業者の篠原さんが、はたらきたいと望むすべての女性が活躍できる社会にしたいと考えテンプスタッフを創業したことがはじまりです。お2人にとって篠原さんはどのような存在ですか?
喜多:私は、何度かご一緒する機会がありました。会議の場など、篠原さんはそこにいるだけで空気がパッと明るくなるような方です。軽やかで裏表のないお人柄を尊敬しています。一方で、経営会議では資料のマーカーの引き方や名刺の厚みまで細かく目を配っていらして、「創業者としての凄み」を感じました。一人のビジネスパーソンとしても憧れの存在です。
菅:私は直接の接点はありませんが、「怒っちゃダメ、威張っちゃダメ、カッコつけちゃダメ」と繰り返し仰っていたと聞いていて、とても印象に残っています。座右の銘は「実るほど頭を垂れる稲穂かな」だそうで、そこにも深く共感しました。実は私の名前「奈穂(なほ)」の「穂」は、両親がこのことわざを気に入ってつけてくれたものなんです。篠原さんの言葉を知ったとき、勝手ながらちょっと運命めいたものを感じました(笑)。
ともにはたらく仲間と、社会全体へ。“はたらくWell-being”な未来へ
——今後の展望を教えてください。
菅:パーソルグループが社会により良い影響を与える存在であり続けるために、これからも力を尽くしたいと考えています。法務という立場から事業の成長を支えつつ、全社員が「自分たちの仕事が社会に貢献している」と実感できる会社にすることが、私の目標です。そのためには、これまで以上に私自身の言葉で「どんな未来を描いているのか」「そのために何をしていくのか」を、社内外へ発信していかなければならないと思っています。
喜多:「CGDO」という肩書をいただいた以上、見せかけでない、本質的なダイバーシティの実現を目指したいと考えています。けれどそれは、一企業だけでできることではありません。社会全体を変えていかなければ、本当の意味での実現にはつながらないと感じています。
私自身、これまでのキャリアの中で、パーソルグループには経営理念(※1)や行動指針(※2)が根付いていることを強く実感してきました。実際に、現場でダイバーシティを進めていく上で何度もその力に支えられてきたんです。これからは、はたらく一人ひとりがジェンダーダイバーシティ委員の一員として、社会をともに変えていけたらうれしいです。
——最後に、社員へメッセージをください。
喜多:世代や性別、障害の有無などによって、同じ出来事に対してもまったく異なる見方や感じ方があります。以前、とあるプロジェクトで女性社員が難しい顔をしていたので声をかけてみたところ、「このユーザーニーズって、本当のニーズを反映している気がしないです」と、私が想像していなかったような意見をくれたんです。「そんな見方もあるんだ!」と、気付きをもらった瞬間でした。女性同士だとしても、歩んできた道、立場や家庭環境によって捉え方は異なります。だからこそ、一人ひとりの考え方や価値観を大切にし、共有することで、パーソルグループの多様性を社員みんなと一緒に広げていきたいと思っています。
菅:性別に関係なく、人にはそれぞれ、仕事に100%の力を注げないタイミングがあると思います。そうした中で成果を出し続けたり、リーダーとしての役割を担ったりするのは、簡単なことではありません。でも私は、たとえ直属でなくても、ともにはたらくメンバーの一員として、そういう仲間に対してできる限りの応援をしたいと思っています。もし今、キャリアアップに悩んでいる方がいるのなら、ぜひ怖がらずにチャレンジをしてほしいです。もちろん大変なこともありますが、その分影響力が大きくなり、仕事から得られる喜びや充実感

(※1)「雇用の創造」「人々の成長」「社会貢献」(※2)「誠実」「顧客志向」「プロフェッショナリズム」「チームワーク」「挑戦と変革」
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。