
概要
パーソルホールディングス株式会社は、「どうやって“はたらくWell-being”な組織・人を育むんですか?」と称したトークイベントを、4月15日に実施しました。
このイベントは、組織の
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プロフィール

株式会社tonari 代表取締役社長 高橋 弘樹氏
テレビ東京入社後、テレビでは『家、ついて行ってイイですか?』などを企画・演出。同番組でギャラクシー賞、民放連賞。Webでは『日経テレ東大学』を企画・制作統括。チャンネル登録者は100万人超。2023年3月に独立。新メディア『ReHacQ』を立ち上げる。著書に『TVディレクターの演出術』(ちくま新書)、『1秒でつかむ』(ダイヤモンド社)、編著『天才たちの未来予測図』(マガジンハウス)、『なんで会社辞めたんですか?』(東京ニュース通信社)など。

AGC株式会社 デジタル・イノベーション推進部 プロフェッショナル・ファシリテーター 磯村 幸太氏
AGCグループのパーパス実現に欠かせない「風通しがよく、主体性を重んじ、チャレンジを奨励する企業文化」を醸成するため、経営層と社員との対話や、社員が自発的に学び実践するコミュニティの活性化、組織の課題解決に伴走する支援など、組織開発に取り組んでいる。個人としては、副業を通じて大企業、スタートアップ、NPO、大学、行政などさまざまな領域に越境して変革を促し、そこで得た知見を本業に還元している。

株式会社商工中金ヒューマンデザイン 代表取締役 松下 泰之氏
2018年に社内で開催したビジネスコンテストにて、従業員の幸福度を可視化する「幸せデザインサーベイ」のアイデアが誕生し2020年に事業化。以降、同サーベイや従業員参加型のワークショップなどを通じ、中小企業ではたらく人々のWell-being向上をサポート。2024年11月、人財サービス子会社「株式会社商工中金ヒューマンデザイン」を設立。中小企業、また中小企業ではたらく人々に対して、「気付き」を与え「幸せ」を考えてもらう取り組みを推進。
「はたらくWell-being AWARDS」受賞企業が語る“はたらくWell-being”推進の秘訣
高橋氏:「はたらくWell-being AWARDS 2025」で受賞されたお二方をお招きしております。どういったポイントが評価されたと考えていますか?
磯村氏:最初はあまりピンとこなかったんです(笑)。でも受賞をきっかけに、AGCの企業としての活動を振り返ってみると、「自分らしくチャレンジする」というカルチャーをずっと育ててきたんだなと気付きました。このアワードの選考委員でもある武蔵野大学 ウェルビーイング学部長の前野 隆司先生の幸福学の研究でも、「あなたらしくやってみよう」ということが幸せに寄与する、という話があります。それと重ね合わせて考えてみると、AGCでは、「自分の思いを起点にチャレンジする」という風土が育まれ続けているので、それが今回の受賞につながったのではないかと考えています。
高橋氏:自分のやりたいことをやってみる、自由にチャレンジできる風土は“はたらくWell-being”を体現する組織をつくる上で重要ですよね。とはいえ、なかなか社員の皆さんから自発的に手が上がらないのも事実だと思います。
磯村氏:AGCでは、社員が自由に意見を言える風通しの良い環境をつくることに特に力を入れています。具体的には、社長と社員が直接対話する機会を年間100回以上設けています。こうした場でファシリテーターとして参加しているのですが、社員が社長に対して、直接意見を言える経験を通して、誰に対してでも率直に意見を言える文化を少しずつ構築しています。
高橋氏:100回も開催しているんですか!?すごいですね。

磯村氏:こうした対話活動に「コミュニティ」と「制度」を組み合わせた組織づくりをしています。対話を通じて生まれたアイデアや想いを、体験を通して得られた熱量が冷めないうちに「コミュニティ」へ持ち込み、仕事として実現できるように、社内副業制度やキャリアチェンジ制度といった各種人事制度を設けています。
高橋氏:なるほど。松下さんはどうですか?
松下氏:商工中金ヒューマンデザインでは「幸せデザインサーベイ」というサービスを展開しています。これは、私たちの顧客である中小企業の社員の皆さまの幸福度を可視化し、その結果をフィードバックすることで、気付きを得て「幸せ」を考えるきっかけを提供するというものです。この取り組みを通じて、企業のWell-being経営を推進したことが、今回の受賞につながったと考えています。
高橋氏:私も中小企業経営者なのですが、「幸せデザインサーベイ」では、どのようなことが分かって、どのように解決するのでしょうか?
松下氏:中小企業といっても、いわゆる中堅企業から家族経営をしている企業まで規模はさまざまです。人材不足や離職防止など、組織の課題は企業によって異なりますが、私たちの「幸せデザインサーベイ」を実施することによって、所属する企業に対して社員が感じていることを明らかにすることが可能です。そのあとにはアフターサービスとして「幸せデザインワークショップ」というワークショップを展開しています。社長を含む経営層と、できる限り多くの社員に集まっていただき「皆さんが考える幸せとは何か」「企業がどのようなことをすれば幸せを感じられるか」といったテーマでディスカッションを行っています。そして、その対話を通じて得られた共通認識を基に、企業として何を実践すべきかを明確にし、実際に行動に移していただくことをおすすめしています。

仕事における軸を複数持つと、“はたらくWell-being”が向上する!?
高橋氏:テレビ東京に勤務していた時代に、労働組合の委員長を務めていたことがあります。その活動の中で、特にやりきったと感じているのが「社内副業」制度の導入です。大企業の中で、社員が自らのキャリアを主体的に選択できる仕組みにすごく興味があったんですよね。私自身、“はたらくWell-being”を高めるためには、副業が一番手っ取り早い気がしていて、はたらく上での軸が1本から1.5本や2本に増えると、その人の仕事に対する満足度は大きく向上すると思っています。
磯村氏:AGCでは、3カ月に1回ほどのペースで、社内副業の募集を行っています。

高橋氏:そういうことなんですよね。
中山:パーソルグループでは、“はたらくWell-being”を実現するにあたって大切な「はたらくの体験・評価・自己決定」の3要素に分解したものを「はたらくWell-being指標」と定義し、調査を実施しています。その中の一つである「自己決定」に通じる話ですね。自分の仕事は自分で選べる状態であることが幸せにつながるんですよね。自らの意思で副業をするということもそうです。今の仕事以外にも多様な選択肢があると感じることが、“はたらくWell-being”向上につながっているのではないでしょうか。
松下氏:私は副業をしているわけではありませんが、“はたらくWell-being”は相当高いと思っています。それは商工中金というフィールドで、それなりに自由に動き回れている実感があるということと、グループ会社の社長を任せられていて、一緒にはたらくメンバーに恵まれていると感じられていることが理由として挙げられると思います。
「やりたくない仕事」とどう向き合い、“はたらくWell-being”を保つか
高橋氏:結局、自分がやりたい仕事をやることが幸せなんですよね、しかし、やりたくない仕事をせざるを得ない場面に直面することは、はたらいていれば誰にでもあることだと思います。そういったときには、どのように“はたらくWell-being”を実現すればよいのでしょうか?
中山:自分なりに意味付けをできるかがとても重要だと思っています。同じ仕事を続けるにしても、「一旦、こういう理由がある」と腹をくくれるかどうかが、非常に大切だと感じています。

松下氏:私はこれまで多くの「やりたくない仕事」をしてきましたが、自分を応援してくれる人が周りにいることや、「あの人は大変な仕事をしている」と理解してくれる人がいることがとても励みになりました。もちろん、自分の気の持ちようも重要ですが、周りの理解やサポート、仕組みがどれだけあるかによって、大きく変化するものだと感じています。私にとっての“はたらくWell-being”は、今どんな仕事をしているか、どんな役割や責任を担っているかといったことに加えて、周囲の人と一緒に「幸せだな」と感じられることが大きいと思っています。たとえば、周りの人たちが笑顔ではたらいている姿を見ると、自分も満足できる。そういう意味では、私にとって“はたらくWell-being”の実現のハードルはそれほど高くないのかもしれません。
磯村氏:「あなたはどう生きたいですか?」という問いに向き合うことも大切だと思います。自分の人生をどのように歩みたいかを考え始めることで、「私はこう生きたい。だから仕事はこうしていきたい」と、仕事との向き合い方も変わってくるのではないでしょうか。会社にいると、どうしてもその会社の物語の中で自分の仕事の意味を見出しがちですが、私たちは会社のために生まれてきたわけではありません。それとは別の物語の観点として、まずは「自分の人生にとっての幸せとは何か?」という視点から、仕事とのバランスや折り合いを見つけていくことが、“はたらくWell-being”にもつながっていくと感じています。
イベントでは、高橋氏の「ここだけの話」ももりだくさんな、リアルイベントならではの軽快なファシリテーションで、トークセッションは大いに盛り上がりました。集まった32社47人の参加者の皆さんからも「高橋さんのエピソードを交えた、はたらくに関する考え方を聞けて良かった。自分のはたらき方を考える上で参考になった」「企業が“はたらくWell-being”を高めるためにどのような工夫をしているのかを知ることができ大変有意義だった。自分の会社の施策にも反映させたい」といった感想も寄せられました。パーソルグループでは今後も“はたらくWell-being”について考える機会の提供を行っていきます。
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。