皆さんの笑顔の力を子どもたちへ、認定NPO法人カタリバに寄付しました【はたらくWell-being Donation】

パーソルグループは、「はたらく」を応援する寄付活動を「はたらくWell-being Donation」とし、“はたらくWell-being”を推進する組織・団体を支援することで、グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」の実現を目指しています。今回は12月の寄付月間に合わせ、南青山本社オフィスエントランスに笑顔測定器を設置。来場者の笑顔に応じて蓄積したポイントを金額に変え、寄付を実施しました。

今回集まった寄付金の寄付先は、認定NPO法人カタリバです。“はたらくWell-being”創造カンパニーとして、2030年までに「人の可能性を広げることで、100万人のより良いはたらく機会を創出する」ことを目標とするパーソルグループと、すべての10代に向けて自ら未来をつくりだす意欲と創造性を育む活動を展開するカタリバ。今回は寄付金贈呈のセレモニーを通じて、双方の志の共通点と今後の展望を聞きました。

<プロフィール>
写真左:起塚 拓志
認定NPO法人カタリバ オンライン探究事業責任者
大学在学中に参加した1年間にわたるインターンをきっかけに、卒業後カタリバに参画。島根県雲南市や岩手県大槌市での事業を経て、2021年4月より東京・中野本部に勤務。より良い未来を創造する力をつける高校生の課題発見・解決型プログラムを場所にとらわれずに届けるオンラインでの事業に携わる。

写真右:中山 友希
パーソルホールディングス株式会社 はたらくWell-being推進室長
パーソルキャリア(旧インテリジェンス)入社後、営業を経て経営企画、事業企画を担当。2018年にパーソルキャリアのミッション策定プロジェクト担当としてアンカースターへ出向。帰任後は対外的なミッション浸透のため、産学官とのパートナーシップを推進。2020年からはパーソルのグループビジョン「はたらいて、笑おう。」実現に向け、はたらく領域におけるWell-beingのグローバル指標策定、浸透に取り組む。2023年4月に新設されたはたらくWell-being推進室長に就任。

笑顔測定器とは
カメラ付きの機械で、カメラに映った顔の画像を解析して、目や口の動きなどの情報をもとに笑顔度を計測。笑顔度から「笑顔レベル」を大・中・小の3段階に分類し、計測された笑顔のポイント数に応じて寄付を実施します。

目次

社会人と10代。「Well‐beingにはたらく人を増やしたい」想いは同じ

中山:このたびは、寄付を受けてくださりありがとうございます。

起塚氏:こちらこそ、ありがとうございます!なぜ今回、カタリバに寄付してくださったのでしょうか?

中山:弊社はグループビジョンである「はたらいて、笑おう。」の実現に向けて、はたらくことを通じてその人が感じる幸せや満足感―“はたらくWell-being”を社会に広めていく活動をしています。言葉は違えど、近しい志を持って活動されている企業や団体は多いのではないか考え、そういった方々とのつながりのきっかけとなればと思い「はたらくWell-being Donation」という活動を立ち上げました。今回カタリバさまに寄付を決めたきっかけとしては、“はたらくWell-being”の指標となる3つの要素を実現されていると感じたからです。特に下図の2つ目と3つ目の親和性が高いのではないかなと感じています。

起塚氏:カタリバの活動に親和性を見出していただけてうれしいです。“はたらくWell-being”にもつながり得る事業なのだと、私達自身も気付かせてもらいました。

カタリバは2001年に設立され、日本のすべての10代が生まれ育った環境に関係なく未来を切り拓けるよう教育・子ども支援をしている認定NPO法人です。安心できる居場所や食事の提供、多様な学びの機会の創出を通じて、子どもたちの可能性を広げる活動を行っています。カタリバの活動の原点は、大学生が中学・高校を訪問し、生徒たちとキャリアについて語り合う「カタリ場」事業です。さらに、2011年の東日本大震災を機に被災地での子どもたちの日常の居場所運営を開始。そのあとも、新型コロナをきっかけに遠隔地の子どもを繋ぎ、学びや居場所を提供するオンライン支援など、時代や地域のニーズに応じた取り組みを展開し、現在は17事業を運営しています。

中山:たくさんの事業があるんですね。

起塚氏:子どもたちが抱える課題と向き合う中で、自然と広がっていきました。カタリバは、「ナナメの関係」と「本音の対話」を大切にしながら、あらゆる困難を抱える子どもたちに学びの機会を届けること、また探究的な学びを届けています。

中山:探究的な学び、ですか?

起塚氏:この探究的な学びが、“はたらくWell-being”を実現する種になり得るのではないか——そんな可能性を感じています。カタリバでは、「10代の意欲と創造性を育む5STEP」を定義し、すべての事業の基準としています。そのゴールは、子どもたちがオーナーシップを持ち、自ら人生を選び取って歩んでいける状態をつくることです。“はたらくWell-being”の指標の一つにある、「自分の仕事やはたらき方を多くの選択肢の中から選べる状態」は、まさに自己決定というキーワードに通じるもの。カタリバの目指す方向性と深く共鳴するポイントだと感じました。

中山:まさしく自己決定は、“はたらくWell-being”の向上において重要な要素です!

起塚氏:「マイプロジェクト」は、特につながりがあるかもしれません。

「自己決定」の重要性と“はたらくWell-being”

中山:マイプロジェクトについて詳しく教えてください。

起塚氏:マイプロジェクトは、「マイ(私)」が実現したいことをテーマにして学びを深めていくことで、高校生が自らのWell-beingを実現していくことを目的としたプロジェクトです。この取り組みは、もともと被災地での活動の中から生まれました。被災した子どもの「支援してもらうだけでなく、自分たちも何かできないだろうか」という思いがきっかけとなって、子どもたちが等身大の復興のアイデアを考え、実現に向けた活動へと発展。その後、全国へと広がっていきました。きっかけは震災でしたが、今のような変化の激しい社会の中では、どんな状況でも困難に直面する可能性があります。はたらく中でさまざまな壁にぶつかることもあるでしょう。そんな時に負けない「強さ」や「どう乗り越えていくかを考える力」を育むために、カタリバではマイプロジェクトを通じて、自ら解決策を考える力を伝えています。

中山:素晴らしい取り組みですね。マイプロジェクトに取り組んだ子どもたちには、どんな変化があるのでしょうか?

起塚氏:印象に残っているのは、岩手県の大槌高校で出会った高校2年生の男子生徒です。大槌高校は、東日本大震災による地震・津波で町民の1割近い人たちが犠牲となった岩手県大槌町にある小規模高校なのですが、私たちカタリバはこの高校で、地域と協働した多様な学びを保障するカリキュラムづくりや学校の魅力化を支援してきました。

彼は最初、何をテーマにしてよいか迷っている様子でした。これまでの体験を深堀りしながら、自分の関心があるテーマを見つけるプロセスで、プリントに「神楽」とだけ書いたまま固まっていました。話を聞くと、家族が郷土芸能団に深く関わっていて、自分も神楽が好きなのだと教えてくれました。「好きなものがあるなら、それをテーマにしていいんだよ」と伝えると、本人は「それでいいんだ!」という反応で。

テーマが明確になった途端、能動的に行動するようになりました。「街の人が持っている郷土芸能の印象を変えたい」と、ほかの郷土芸能団の方々と交流を深めるようになったのです。最初は戸惑っていた彼が、次第に周囲を巻き込みながら自らの想いを形にしていく姿がとても印象的でした。

やがて彼は「郷土芸能との関わりを深める過程は、社会参加の理論と重なる」ことに気付きました。そして進路希望が明確になり、社会系の学部がある大学へ進学することを決めたのです。そんな彼の姿を見て感じたのは「自分の人生のテーマに出会えた子どもはすごく強い」ということです。そして、その強さを一度持てたら、その先の人生でやりたいことが変わっても「今は、これが自分のテーマだ」と前向きに生きていけるのではないかということでした。この気付きは、私にとっても大きな学びとなりました。

中山:すごいお話ですね。そもそも彼は、神楽が自分のキャリアにつながるとは思えていなかったわけですよね。マイプロジェクトがきっかけとなって、自分の好きとキャリアがつながった瞬間があり、未来を自己決定していく。その過程、感動で震えます。

起塚氏:自己決定をするには、「自分が貢献したいと思えるテーマがあるか」が大事ですよね。この気付きをもとに、今後はマイプロジェクトによって培ったキャリアレジリエンス(※1)を測ろうという取り組みも進めています。その指標に、御社の定義を利用させてもらっているんですよ。

中山:お役に立ててうれしいです。「自分のテーマを持てるかどうか」が自己決定の原動力になり得るのは、まさしくですね。むしろ、そういった機会が必要な社会人も多い気がします。

企業と子どもたちの対話が、未来世代を後押ししていく

中山:われわれもFR活動(※2)を行っているのですが、今後、将来世代のはたらくを豊かにしていくために、民間企業に期待することはありますか?

起塚氏:まさに今日のような機会を通じて、NPOと企業の共通性を模索することが大事だと思いました。違う言葉を使っているけれど考えていることは同じだと分かると、事業の励みになります。多くの子どもたちが企業ではたらくという選択肢を持っているので、私達ももっと企業の方と対話していきたいですね。

さらに今後を考えるとしたら、カタリバの取り組みの場に企業の方にも来ていただけるとうれしいです。やはり、子どもたち自身が社会に受け入れられていると感じられることが必要で、それには大人と触れ合い、ときには叱咤激励もいただきながら、社会の中で自分を応援してくれる存在がいるのだと感じられることが重要です。

そういった安心感のもと、自分が追いかけたいテーマに向かって生きているという感覚を得られたら、はたらいて笑える気がしますよね。テーマは初めから「社会のため」みたいな大それたことじゃなくて、「この人を笑顔にしたい」という規模からでいいと思うんです。テーマを見つけ飛び込んでみて、トライ&エラーをした先に、納得感を持ったキャリアを描けるといいですよね。

中山:私たち大人もテーマを見失ってしまう時があるので、生涯探究学習かもしれないですね。思い出したり、新たに設定したりしながらテーマを追いかけていければ、「はたらく」をもっと楽しめるかもしれません。

(※1)キャリアレジリエンス:キャリアに関わる困難や環境の変化に適応して乗り越える能力のこと
(※2)FR活動:将来世代を重要なステークホルダーと位置づけ、対話を強化する「FR(Future Generations Relations)」活動のこと

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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