29歳でマネジャーに就任、「100人の人生を変えた」と自覚した私が常に心掛ける「顧客視点」―わたしとDEI(1)細野 真由―

パーソルグループは、すべてのはたらく人たちが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会の実現を目指し、DEI(Diversity, Equity & Inclusion)を推進しています。
本連載では、生まれた場所や育った環境、年齢、性別、経験、価値観などの違いを可能性と捉え、多様なキャリアを歩む社員を紹介します。
第1回目はパーソルキャリアの細野 真由です。細野はdodaプラス事業部の同期の中で最も早く29歳でマネジャーに就きました。

「入社したてのころは、自分の目標を達成できないことのほうが多かったんです。契約ゼロで終わってしまった月もありますし、2年目には上司に予算を下げてくださいって交渉に行きました。もちろん、下げてもらえませんでしたけど(笑)」

現在、細野は、新人時代をこう振り返ります。現在40名ほどいるチームの中に悩んでいるメンバーがいると、時折、この過去を明かすそう。すると、必ず「え!?」と驚かれます。細野は、「みんな、それはヤバくない……?という表情をしますね」と朗らかに笑いました。

「給料に見合うクオリティの仕事をしていない」と自覚し、上司に無理なお願いをしにいくほど悩んでいた細野は、どん底からどう挽回していったのでしょうか?

目次

「ちゃんと恩返しできる人間」になりたくて人材業界へ

細野は埼玉県川越市で生まれました。緑豊かな自然と田畑に囲まれた土地で、幼いころは「となりのトトロごっこ」をして遊んだといいます。

長閑な環境で伸び伸びと育ちながら、いつのころからか、独特の考えを持つようになりました。

「私はずっと、やりたいことがなかったんです。だからこそ、将来やりたいことが見つかった時、過去の自分の行いによってそれを選択できないという事態を避けたくて。未来の自分が幸せになるためには、過去の自分がどれだけ努力できるかが勝負だなって思っていました」

自然豊かな埼玉県川越市で過ごした幼少期(向かって右が細野)

時には両親から「もう止めたほうがいい」と言われるほどストイックに勉強をして、中学、高校でも上位の成績をキープ。もちろん、すべては「やりたいこと」に出会った時のためです。

それが見つかったのは、大学3年生のころ。ある人材サービス企業のインターンに参加した時、初めて人材サービスのビジネスを知って興味を持ち、次に当時のインテリジェンス(現:パーソルキャリア)のインターンも経験しました。その際、「これだ!」という手応えを感じたそう。

「私は両親や友人、学校の先生など本当に周りの人に恵まれている人生で、いろいろな人に助けてもらってきたので、ちゃんと恩返しできる人間になりたいと思っていました。周りの人の助けになることって何かなと考えて、転職やキャリア採用という領域なら、友達が困った時に助けられるかもと思ったんです」

就職活動中、同時進行で採用試験を受けていた別業界の企業からも内定を得ていましたが、インテリジェンスの選考の過程で会った社員からも人柄の良さを感じ、就職を決めます。

長いトンネルの先に見えた光

2017年春、入社。配属先は「dodaプラス」事業部でした。dodaプラスは「非対面型」のエージェントサービスで、プロジェクトエージェント(以降、PA)が企業・個人のどちらとも接点を持ち採用・転職の支援を行います。

新人時代、同期たちと出し物をしたそうですが「九州」が何を意味するかは覚えていないそうです(下段の右から2番目が細野)

金融領域担当のPAになった細野はまもなくして、打ちのめされました。求職者の意向は毎日変わります。その日に第一志望と言っていても、翌日には別の企業が第一志望になることも珍しくありません。面接が進んでいた企業の採用担当者に、「入社を辞退されました」と伝えるときは、毎回、胸が痛みました。

「最初のころは、つらかったです。仕事って大変なんだ、だからこれだけのお給料をもらっているんだ、でも私はお給料に見合う仕事ができていない、っていつも感じていましたね」

冒頭に記したように、契約がゼロに終わる月もあるほど低迷が続きました。救いだったのは、同じ部署の先輩たちがいつも「大丈夫だよ」と声をかけて、サポートしてくれたこと。その感謝から、「先輩たちに申し訳ないと思うことは一つもないように、頑張ろう」とスイッチが入ります。

結果を出すために何をすればいいのかを考えた細野は、「先輩たち以上に行動しよう」と決めました。「求人票を見れば分かる内容を自分が伝えても意味がないから」と、積極的に求人企業を訪ねました。そうすることで、会社の雰囲気や現場でどういう人たちがはたらいているかを知ることができるからです。

「お客さまのところに訪問に行く件数は、おそらく当時のPAの中で一番多かったと思います。業界や企業の知識が足りなくてもカバーできることがあるはずだと思って、週に3回は行きました」

求職者に自分が足を運んで見てきたこと、感じたことを伝えると、それまでと反応が変わりました。それは、長いトンネルの先に光が見えた瞬間でした。

「100人の人生を変えた」と自覚した日

細野はある出来事をきっかけに、仕事への向き合い方が変わりました。

4年目のある日、たまたま自分が支援した求職者の人数を目にします。そこには「100人」と書かれていました。その瞬間、ハッとしたそうです。

「私、100人の人生を変えちゃったんだ……。この方たち、みんな幸せにしているかな」

PAの仕事は、求職者の未来を変えます。分かっていたことですが、改めてその責任を実感した時に、「自分がお客さまの前で誠実じゃないと、お客さまに幸せは訪れない」と背筋が伸びました。

お客さまに対して誠実であるということは、どういうことなのか。それは、同じ部署の先輩たちの背中を見れば分かりました。目の前の数字を追い求めるのではなく、求職者と企業にとって何ができるかを考え抜くことです。

時には、「普通のPAなら言わないだろうな」と思うことでも、それが求職者のためになると判断したら、口にしました。細野が考える「誠実」は、お客さまにもしっかりと届いていたようです。4年目、細野が担当して転職を決めた個人から入社後のアンケートが届きました。そこには、こう書かれていました。

「ほかのエージェントは自分が担当する企業に入社を勧めるようなコミュニケーションばかりだったけど、細野さんは自分が行きたいところに決めてくださいというスタンスだったから決めやすかった。細野さんみたいなエージェントがたくさんいるなら、すごくいい会社だと思いました」

メンバー時代にお世話になった先輩たち(後列、真ん中が細野)

アシスタントマネジャーに昇進して再びの苦戦

5年目、細野はキャリアチャレンジ制度を使って企画部に異動を願い出ます。それは、「みんながいい営業活動ができるように」と考えてのことでしたが、企画部のマネジャーと面談をするうちに、自分が実現したいと思っていたことと企画部へ異動してできることが合っていないと判断し、自ら取り下げました。

改めて「何を成したいか」を考えた時、「自分のまわりにいる人たちが、より幸せな道を歩んでほしい」と感じたのです。そして、一緒にいる人たちの幸せの実現のために、上司に「アシスタントマネジャー(以降、AM)を目指します」と伝えます。

2022年春、AMのテストに合格。求人企業を担当せず、十数名のチームを率いてメンバーの業績や成長を支援する仕事に変わりました。ここで再び、苦戦します。当初は、自分の経験をもとに、「こうすればいいんじゃない?」とメンバーにアドバイスをしました。ところが、思うように動いてくれません。

なぜ?と悩み、試行錯誤を重ねているうちに、「やってほしいことを指示しても、動かない」と気付きました。そこで大きく方向転換し、別のアプローチを始めます。すると、どうにもこうにも動かなかった船が、前進し始めました。

「予算の達成や業績よりも、自分たちがやろうとしていることが何につながっているのかを、伝えるようにしたんです。振り返ってみれば、私も数字を追いかけるのはすごく嫌いで、お客さまを良くしたいという思いだけで行動していたので、そこが伝わったらみんな動いてくれるかなって」

わずか1年でAMからマネジャーに昇格

2024年1月、予想外の辞令で、新卒からずっと在籍してきた金融領域から製造業界に異動。その年の4月、マネジャーに昇格しました。マネジャーになるとチームの規模も一気に大きくなり、メンバーは約20名。しかも、慣れない製造業界での挑戦になります。上司から昇格を告げられた時は、喜びよりも「私、大丈夫かな?」という不安が先立ちました。

そこで細野は、原点に立ち返ります。時間の許す限り、PAに同行して求人企業を訪ねたのです。それは、新人時代と同じように「現場を知る」だけでなく、「お客さまが好き」で仕方ない自分自身のモチベーションを高め、不安を払拭することにもつながりました。

若手マネジャーとして意識しているのは、メンバーとのコミュニケーション。年上のメンバーもいれば、子育て中のメンバーもいる中で、健やかに意思疎通を図るために、「私が言っていること、受け止められますか?大丈夫ですか?」とこまめに確認を取るように心掛けています。

チームが大きくなっても、細野の姿勢は変わりません。業績は結果であって、目的は求人企業と求職者の支援。両者を主語で考える「顧客視点」を徹底することで、おのずと予算達成もついてくるということを、繰り返し伝えています。

マネジャーに就いて2年目の細野にとって、やりがいを感じるのは「メンバーの成長を実感したとき」。メンバーが大切にしている想いや考え方を口にするようになるなど、日々の業務の中で変化が見えたときにうれしくなるそうです。

業績が伸びずに落ち込んでいるメンバーには、自分の新人時代の失敗話をして、「絶対大丈夫、なんとかなるよ」と声をかけます。「絶対」と断言するのは、そう信じているから。

「私も、やってしまった……、と思う瞬間がたくさんあるんです。でも、何かあったら誰かが絶対に助けてくれるだろうって思っています。その根拠はよく分からないですけど、謎の確信があるんです。周りは良い人たちばっかりだから」

細野も、困った人がいたらいつでも手を差し伸べる準備をしながら、チームを牽引しています。

「メンバー一人ひとりがお客さまを良い意味で変えていけるように支援していきたいですね」

マネジャーとして所属しているPAEMC組織

<プロフィール>
細野 真由(ほその まゆ)
パーソルキャリア株式会社 dodaプラス事業部 プロジェクトエージェント統括部 PAEMC第8グループ マネジャー
2017年4月に新卒でパーソルキャリア(旧インテリジェンス)に入社。dodaプラス事業部に配属され、プロジェクトエージェント(PA)業務に従事。金融領域を担当し、2022年にアシスタントマネジャー(AM)に昇格、23年に製造業界に異動、同年4月にマネジャー昇格。現在に至る。

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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