パーソルホールディングス株式会社は、「はたらく」を考える全国就業者データベース「はたらく定点調査」を8月1日に公表しました。本調査は全国の15歳から69歳の就業者10万人を対象に「はたらく」に関する意識と行動58項目を質問した大規模調査で、さまざまな切り口で「はたらく」に関するデータを抽出することが可能です。
*「はたらく定点調査」について詳しくは、こちらをご覧ください。
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、多様なはたらき方や学びの機会を提供し、一人ひとりの選択肢やはたらく自由を広げて、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現を目指しています。本調査もその一環として実施されました。
(※)“はたらくWell-being“とは:はたらくことを通してその人自身が感じる幸せや満足感を“はたらくWell-being”と定義しています。
本記事では、「はたらく定点調査」を担当しているパーソルホールディングス グループコミュニケーション本部の鈴木 崇之に、調査への想いから、印象的な調査結果や今後の展望までを聞きました。
もっと身近に“はたらく”を考えられるきっかけを提供したい
──なぜ今回の定点調査を実施しようと思われたんですか?
鈴木:個人が“はたらくWell-being”を実現するためには、まず自分の“はたらく”と向き合う必要がある、と思ったんです。「“はたらく”を考える時って、どんな時?」と考えると、大きく2つあると思いました。
一つは、身近な存在の言動。たとえば友人や同僚、先輩が転職したり、複業を始めたりすることを耳にしたときです。そしてもう一つは、大きな不満や不安があるとき。こうしたときは、「自分はこのままでいいのかな?」と、“はたらく”について考えますよね。でも、この2つ、どちらも自分を取り巻く環境や周囲の状況の影響を受けてはじめて考えるという行動に出ています。それで、周囲とは関係なく、自分の“はたらく”を多くの人に考えてもらうためにはどうしたらいいのだろう、と考えた結果、アプローチの一つとしてこの調査を実施することにしました。
──どうしてこの調査が、自分の“はたらく”を考えるきっかけになると思われたのですか?
鈴木:たとえば、同年代の平均年収、といったデータを見たことはありますか?日本ではたらく同年代の中で、自分の年収が高いのか低いのか、興味を持つ人は多いと思います。一言で同年代の年収といっても、職種やはたらく地域で違うかもしれません。そこで、もっともっと普遍的で、就業者の身近な部分まで掘り下げていける、仕事にまつわる客観的なデータがあれば“はたらく”を考えるきっかけになるんじゃないかと思ったんです。この調査では、47都道府県、10代から60代までを対象に、業種、職種、雇用形態も幅広い方へ調査しています。結果として、10万人の方にお聞きする大規模調査になりました。
興味深い調査結果が続々!あなたは納得?それとも驚く?
──パーソルグループは、ありたい姿として「“はたらくWell-being”創造カンパニー」となることを掲げていますが、はたらくことへの満足度なども今回の調査で見えてきたのでしょうか?
鈴木:プライベートと仕事それぞれで、「満足していますか?」という質問をしているのですが、年代別ではともに10代が最も高く、40代が最も低いスコアでした。これはあくまで仮説ですが、ほかのデータと照らし合わせて考えると、10代は自分に費やせる時間が多く、仕事も始めたばかりで期待感が大きいのに対し、40代は結婚や育児に加えて、仕事で求められることも多く、自分にあてる時間が少なくて満足できていない人が多いように感じました。40代は悩み多き年代と言えるのかもしれません。
──ほか、印象的な調査結果はありましたか?
鈴木:いろいろあるのですが、中でもハラスメントの調査結果と、転職に関する調査結果は印象的でした。
──それぞれ教えてください。まずはハラスメントについて。
鈴木:男女別や年代別で結果が大きく乖離した質問の回答があり、非常に興味深かったです。少し驚いたのは、年代が高いほうがハラスメントだと認識している項目が意外と多かったこと。たとえば、「【上司や先輩から、二人きりでの食事に誘われた】場合、あなたはハラスメントだと思いますか」の質問では、「思う」と答えたのは60代が一番多く、20代が一番少ないという結果でした。
近年、さまざまな種類のハラスメントが問題視されていますよね。「今までの自分の行動が、実はハラスメントに該当するのではないか」「そのような行動は取らないようにしよう」と、特に高い年代の方ほど意識をしているように思います。
──続いて、転職に関する調査結果からは、どんなことが見えてきましたか?
鈴木:「あなたは、学校を卒業してから(社会人になってから)現在までの間に、「何社ではたらいたことがありますか。」という質問で、「2社以上」と答えた人は71.4%でした。印象的だったのは、20代の女性で見たときに、転職して2社以上経験している人が50%以上いたことです。転職が当たり前の時代なのだなということを、ひしひしと感じましたね。
世の中における自分の位置が、きっと分かる!
──この調査を見て、どのように活用してもらいたいですか?
鈴木:冒頭でお話ししたように、ぜひ、ご自身の“はたらく”を考えるきっかけにしていただきたいと考えています。具体的には、自分を客観的に見返す・自分自身を知る、といったことに活用してもらったり、「仕事の選択肢はいろいろある」ということに気付いてもらえたりしたらうれしいですね。
調査サイトには、先ほど例としてご紹介したような“実態”の調査結果のほか、「はたらくときの気持ち」といった“価値観”に関するデータも掲載しています。自分の考え方と近いデータに頷くこともあれば、予想外のデータに驚くこともあると思いますが、それを知るだけでも、世の中における自分の位置を把握することにつながると思うので、まずは、サイトを楽しみながら見ていただきたいですね。
──最後に今後の意気込み、展望を聞かせてください。
鈴木:個人の方がサイトを訪れて、“はたらく”を考えるきっかけにしてもらうには、まだまだ不十分だと思っています。もっと気軽にデータに触れられる状態にしたいですね。たとえば、自分の属性に近い人がどんな資格を持っているかなどのデータを見れたり、自分の考え方と同じような人はどんな仕事をしているのかが分かったり。興味を持った切り口から深掘れるよう、試行錯誤しながらも、より多くの方に関心を持っていただけるサイトへと磨きをかけていきたいです。
また、本調査は一度きりで終わるものではなく、文字通り「定点調査」として毎年継続して実施する予定です。新データのご紹介はもちろん、“はたらく”にまつわるさまざまな経年変化のデータも提供していきたいと考えています。
「はたらく定点調査」特設サイトはこちら